祖母が眠る墓地、その隣りのアパートに住み始めた私たち新婚夫婦。
3年間、平穏無事に住んでいましたが、私の妊娠出産を機に引っ越しを決意。引っ越しをする直前とその後で、ある事件が起きます。亡き祖母に守られていると実感するきっかけになった、それらの事件をご紹介します。
私が結婚して主人と新しく住み始めた新居のアパートは墓地の隣り
目の前が墓地となると、なんだか気持ち悪いイメージがありますが、その墓地には、私の母方の祖母が眠っているお墓がありました。
生前、祖母は、私を大変可愛がってくれました。
晩年は認知症を発症し、病弱な母と仕事で多忙な父の代わりに、私はよく病院受診の付き添いや、グループホームへお見舞いへ行ったものでした。
親戚とは縁が薄かった私ですが、その祖母だけが家族以外で唯一心が許せる大人でした。
そんな祖母が眠っている墓地だから、良くないことからも祖母が守ってくれるだろう、という気持ちで、主人を説得して契約したのです。
アパートで何の問題もなく3年間暮らし、私が妊娠して、手狭になったのもあって、引っ越しを決めました。
あと1週間で引っ越しという日になって、いきなり早朝にピンポーンとインターホンが鳴りました。
主人に出てもらうと、警察の方でした。
このアパートで飛び降りがあったと
玄関のオートロックを開けてほしい、とのことだったようです。
私たちは1階の部屋に住んでいたので、警察の方が適当にインターホンを押したようです。
私は警察沙汰とはまったく無縁のまま過ごしてきましたので、警察、消防の方がいらして、雰囲気にのまれて怖くなってしまい、主人の勧めもあって、その日は一日中、家で過ごしました。
近所の方とも一切交流がなかったので、その後、飛び降りた方は助かったのか、それとも亡くなったのか、わからないままでした。
しかし、ともかくあと1週間もすればこの部屋を離れるのです。
引っ越しは私の強い希望で、急に、1か月ほど前から『なんとしても産前に引っ越さなければ』という思いに捉われるようになったのは、もしかして、亡くなった祖母が私にそう考えるように働きかけてくれたのかもしれないと思いました。
そして無事に引っ越しを終え
次のマンションで半年ほどたったある日のことです。
テレビのニュースを主人と見ていました。
すると、画面が切り替わって、私たちが以前、住んでいたアパートがテレビに映りました。
なんと、このアパートで、母親が幼い子どもを殺害するという痛ましい事件が起きたのです。
しかも、それは半年前まで、確かに私たちが住んでいた部屋だったではありませんか。
私はゾッとしないではいられませんでした。
実は、あのアパートの部屋は、窓のない部屋があり、全体的にあまり日当たりがよいとはいえず、そして1階で道路に面しているので、私はミラーカーテンをかけていてもどこからか見られているのではと心配で、カーテンを閉め切ることが多く、閉塞感がありました。
私は出産前までお仕事をしていましたから
夫婦揃って朝と夜だけしか在宅していなかったのですが、これが四六時中、赤ちゃんと家にこもるようになったら、気が滅入っていたかもしれません。
私もあの部屋に居続けていたら、ニュースになってしまうような事件を起こしていたのかもしれない。
私は、やはり祖母が心配して、早くあの部屋を出なさい、とアドバイスしてくれたのだと思いました。
住んでいる部屋によって、悪い方へ引き摺られてしまうから、早く引っ越しなさいと、私に教えてくれたのだと思います。
心の中で祖母に感謝して、毎年、お墓参りは欠かさず行っています。
あれから6年たちましたが、今は、変わったことは何も起こっていません。