私が修学旅行先の宿泊施設で体験した金縛りと怪奇現象の話です。一泊目に一部屋に数名いるにもかかわらず、私だけが金縛り合い身体が動かなくなりました。二泊目の夜には明方未明に人のうめき声を聞き、部屋の中で人影を見てしまったんです。
私の高校生最後の思い出である修学旅行先は長野県の山間部にあるスキー場でのスキー合宿だったんです
そのスキー場の麓に位置するペンションが、合宿中の宿泊先として与えられた宿でした。外観は一見して綺麗な施設のように見えました。その新設した部屋を女子用の部屋として利用させてもらったんです。
部屋には、5人割で皆頭を扉方向へ向けて就寝に着いたんです。
初日から、バスの移動とスキーの練習で体力を消耗していたので、消灯時間になる頃には全員直ぐに眠りにつきました。
ところが、ウトウトとし始めた頃でしょうか。
急に、息が苦しく感じたんです。私は自分の身体が、「ウーン、ウーン」とうなされていることに気が付いてはいましたが、疲れていたので、どうしても目を覚ますことができませんでした。
どの位うなされたのでしょうか、急に腕を誰かに強く掴まれたような痛みで驚いて目を覚ましました。
その掴み方が、「そっと」ではなく「ガシッ」と掴まれたんです。
先生か友人が掴んだのかもしれないと思いながら、私は飛び起きたんですが、周りを見渡すと、まだ明け方未明の部屋の中で皆んな眠っていたんです。
そしてもう一度私は布団に入り直して眠りに着いたんです
暫くすると、「ううう、、、」といううめき声が耳元に聞こえてくるんです。
楽天家の私は、てっきり「隣で眠っている友人が腹痛でも起こしたのかな。」と思い、起き上がって隣の布団に顔を埋めた友人に向かい、「大丈夫なの?」と声をかけると、その友人が私に、「大丈夫?」と声をかけたんです。
その時はまだ、高校生で何もわからないままで気にしませんでしたが、一応先生にその晩にあった出来事を報告したんです。
そうしたら、担当教師は、「きっと、慣れない環境で夢でもみたんだろうから大丈夫。今夜も同じ事が起きれば先生を呼びなさい。」と話をしたので、私は、「部屋をかえてもらえないかな。」と担任の顔色を伺ったんです。担任は、一目散に「それはできない」と言いきったので、私は、口をつぐんでしまいました。
そして、二番目の夜のこと、私は案の定金縛りにあったんです。
「ウンウン」とうなされる自分の声を聞きながら、それでも身体は起きようとしないんです。ただ、目だけは一瞬「パッ」と開いたんです。
そして、見てしまったんです。部屋の引き戸の下に「サー」と黒い影のような物を。
それは雲に例えれば、まるで悪天候の時になると、空に急に現れるグレーの雲がかかるスピードのようだったんです。
そのまま眠りにたいはずの私は、翌日昼夜の騒がしい現実とのギャップに、誰にも口外できずに今に至るんです。