夏休みに兄のドッペルゲンガーのような人を見た不思議な体験談

不思議な体験談

私の兄は180㎝の高身長で、骨がゴツゴツとしていてとても細身です。その細長い足で歩く時の歩き方が非常に特徴的で少し跳ねるように速足で歩くのが癖です。私はそのような歩き方をする人を兄以外に見た事はありませんでした。高校の夏休みの頃です。

私はその人を3度見かけました。

私と家族が利用する駅は田舎の駅なので、利用する人もほぼ見知った顔触れです。違う顔があれば「初めて見る顔だな~」と思うほど利用客は多くありません。利用客が少ないと言っても、夕方や通勤時間には30名ほどは降りては来ます。

ある夕方、友達と遊びに行っていた私は電車で帰っていました。自分の駅で降りた時、高身長で特徴的な歩き方をする後姿を見かけました。兄です。話しかけようと思いましたが速足だったのと、少し距離が離れていたこともあり、話しかけませんでした。

家に帰った時に兄に「今日一緒の電車に乗ってたんだよ~」っと話しかけました。すると兄は「今日は出かけてないけど?」と言うのです。私は驚きました。後姿・髪型・細長い手足・歩き方、どれを見ても兄でしかなかったあの人は誰だったのか…。

また別の日、兄のそっくりさんの話をすっかり忘れていた私は再びその人に出会いました。前とは別の時間に私と同じ電車から降りてきました。

兄だと思った私は今度は近くにいたので話しかけました。

「一緒の電車だね!」っと背中を叩き、見上げました。背中をたたいた瞬間に私は妙な違和感を感じていました。その違和感は見上げた時に確信に変わりました。兄ではなかったのです。私はまた兄のような人に出会っていたのです。

私はその人に謝って逃げるように自宅に帰りました。ただ、兄ではなかったその人の顔がはっきりと思い出せない事がとても気持ち悪く感じました。その日も家にいた兄の顔を見てホッとしました。また別の日の夕方過ぎ、私はまたその後姿を見かけました。

しかし先日の事を覚えていた私は怖くてその人が見えなくなるまでその場に立ち止まっていました。何度も見るその人が気味が悪くて家族に話したことがありました。すると、父も最近何度か見かけたというのです。どう見ても兄だったと。

父は後姿を見ただけで家とは別の方向に歩いていくその人に話しかけたりはしなかったそうです。夏休みが終わり、学校が始まってからは夕方に駅を利用してもその人に出会うことはなくなりました。

こんなに身近にこんなにも容姿・行動が似ている人が存在していた事実が不思議で薄気味悪くて仕方がありません。もしかしたら私のそっくりな人も私のいない時間に同じような場所を歩いていたりするのかなと思うと余計に怖くなってしまいます。