おじさんは生きてはいないの?普通のおじさんなのに!

不思議な体験談

私が若い頃バイトしていた会社での出来事です。

東京都在住。Sさんの体験談。

私がバイトしていたのは設計士さんが設計した物をトレースする仕事の会社でした。

私が会社に入ってまだ日がたたないときの出来事です。私は会社では普段は文字トレースを担当していました。

といってもまだバイトを初めて日が浅かったのでまだまだ練習の段階でしたが。

そんなある日うちの会社に橋を作る共同企業体に事務員を派遣して欲しいという話が来ました。

当時は事務員と言っても働いてる設計士さんたちのお茶くみや電話番、机の拭き掃除などの簡単な雑務でした。

そこでバイトで日が浅い私と、バイト先輩の女性と2人が事務員として派遣されることになりました。

月曜日から金曜日までは派遣先の共同企業体で事務の仕事、土曜日はバイト先で文字トレースの仕事をしました。

共同企業体はビルの2階の1室でした。共同企業体で事務員の仕事を始めて数ヶ月がたったある日のことです、
階段下でおじさんが2階を見ていま初めは気にしませんでした。どこか2階にある会社に用でもあるのだろう
くらいにしか考えませんでした。

それからしばらくしておじさんは毎朝階段の下で2階を見上げているのです。私は「おはようございます。」

と挨拶しましたが返事はおろか私の方を見ることもなく、ただただ2階を見上げてるだけでした。

おかしなおじさんだなあとは思いましたが、変わった人もいるもんだと思ったくらいであまり気には止めませんでした。

それからも毎日居るので素通りはいけない気がして何度となく「おはようございます。」とあいさつしましたがおじさんは決して私の方は見ないし、返事もしませんでした。

私は子供の頃から何となく霊感は強い方で寝てるときに、布団の周りを異様な気配の人にぐるぐる回られたり、
はたまた寝てて布団から出していた足を引っぱられるという体験を度々していました。

私のバイト先の所長さんは年配の女性でしたが、かなり霊感の強い人らしいという話を同じ共同企業体で事務の雑務をしている先輩事務員さんに聞かされました。

そして彼女の話では彼女自身も霊感は強い方だということでした。

世の中には霊感の強い人は結構いるもんだなと思いました。

ある日バイトの先輩事務員さんに何となく下にいるおじさんの話をしました。

私は毎朝あいさつするのに全然返事をしてくれないし、こっちも向かないって事を。

そして先輩に、でも無視するわけにも行かないから返事はないけど、やはり見かけたらあいさつはするべきですよね。

と聞きました。すると彼女はこう言いました。あなたにも見えてた? あの人、生きてないから、と。

えっ? あんなに普通に階段下に立って居るのに?と思いました。でもおかしな事はありました。

だってあんなに用でもあるように2階を見つめているのです用があれば上がって行けばいいじゃないですか、
でもおじさんはじっと見つめているだけで決して上がろうとはしないのです。とても用がありそうな顔で真剣に
2階を見つめているのに。その時点でおかしいのに気がつくべきでしたが、見るからに普通のおじさんなのです。

サラリーマンというのでしょうか、普通にスーツを着た中年男性でした。

それからいつのころか気付けばおじさんは居なくなっていました。

私が事務の仕事を派遣されて行っていた共同企業体のあるビルですが、家賃が安いという噂だったのです。

仕事を始めて頃は覚えやすくていいと思っていた電話番号ですが、市外局番は大阪市内ですから06でしたが
それに続く番号は444の4444でした偶然なのでしょうが不思議というか出来すぎた電話番号だとは思いませんか?

 

仕事を始めた頃は ワーッ! 凄いぞろ目、それも不思議というか不吉というか、でも覚えやすい、1度聞いたら忘れない。
などと思って笑い飛ばしていました。

でも家賃が安いビルで電話番号が444の4444これはきっと何かあったに違いないですね。

あのおじさんは何か思いを残したまま逝ってしまわれたのでしょう。2階の誰かに何かそのことを伝えたかったのか、
または誰かに会いたかったのかは今となっては定かではありません。

でもある日を境におじさんを見かけなくなったということは、おじさんは成仏されたのでしょう。

もしくは私の霊感が弱まったかでしょうね。
ただ私の人生において生きていない人、一般的に幽霊と呼ばれる人をはっきりとこの目で見たのは、
この時が後にも先にも1度きりです。

もともと霊感が強い方で霊的な物が居るという気配はよく感じるほうではありましたが、まさかの幽霊を見るとは、
俗に言う幽霊は足がない、なんてことは当然ありませんでした。

普通のおじさんでした、だかこそ私は生きている人と思っていたのですから。

では何故先輩はあのおじさんが生きてないと分ったのでしょうか? 不思議ですよね。

霊感の強い人になると見ただけで生きている人と、そうでない人の区別が付くのでしょうか?
私には今だにそこのところはよく分りません。