実話学校の七不思議 少年が見た女の子の正体とは

不思議な体験談

甥っ子の小学校入学祝いも兼ねて、姉の家に遊びに行った時の事でした。いつもは玄関先に、元気に飛び出してくる甥っ子の姿がありません。
突き当たりに見えるダイニングテーブルの端に、何やら叱られたのか涙目で、不貞腐れた顔をして、ちょこんと座っているの甥っ子の姿が、見えていました。

姉の話では、学校に行きたくないと駄々をこねる事が多いらしく、私は宥めてやらねばと、甥っ子の横に座りました。

「だってな、あの橋渡ると呪われるってKが言うねん…」

姉の話では、その「橋」というのは、小学校の低学年校舎と高学年校舎を結ぶ、渡り廊下の事を、子供達が、そう言っているのだそうです。
甥っ子の入学した小学校は、明治初期から続く、歴史のある小学校だそうで、校舎と校舎の間を公道が通っている為、その間を行き来する為に、公道の上に渡り廊下を設置し、そして下に地下道を作ってしまったという、なんとも奇妙な形をしているとか。
甥っ子の学校では、その渡り廊下が、よく有りがちな七不思議のひとつなのでしょう。
校舎自体も古いのが更にその七不思議に拍車をかけている様でした。

「でもな、こっちの建物からな、あっちの建物に渡ろうとしたらな、金魚みたいな女の子が手ぇ振ってるのKが見たって言うねん…」

金魚みたいな女の子…
トイレの花子さんみたいならまだしも、半分金魚の半魚人みたいな姿を想像してしまい、なんとも子供らしい話だと、本気で怯える甥っ子には悪いですが、何処か微笑ましくも感じていました。

そんな事が、あってから1ヶ月程経った頃、父親の法事の相談で、姉と電話で話していた時でした。
「あ、そうそう、ゆみちゃん、こないだ家のチビが言うてた話…」

「あぁ~、七不思議やろぅ?」「偶然やとは思うんやけど、あれからエライ事なったんよ~!」

姉の話では、その話に出てきたKくんと言う男の子が、廊下でふざけて追いかけっこをしていたそうなのですが、ちょうどあの渡り廊下に差し掛かった時に、勢いよく転倒し、渡り廊下の壁に頭を強く打ち付けて脳しんとうを起こし、大騒ぎになったのだそうです。
それだけでは、子供同士での有りがちな事故の様に思えるのですが、その一部始終を見ていた甥っ子の話にゾクリとするモノがあったのです。

甥っ子が言うには、
Kくんは、たった一人で何かに追われる様に走り、渡り廊下を上手く曲がりきれなくて転倒したのだという事。
思わず携帯電話を握ったまま固まってしまった私に、続けて姉は言いました。
姉の近所で、古くからあの土地に住む、親しくしている奥さんがいるのだそうですが、その人の話では、15年程前にあの渡り廊下を作る際に、こんな出来事があったのだそうです。

高学年校舎側の渡り廊下が位置する場所に、立派な木蓮の木があったのだそうです。
その木蓮は校舎の3階部分まで枝を伸ばし、とにかく脇芽を切る等の手入れをしていなかった為か、相当な大きさまで成長していたそうです。
毎年4月~5月になると、赤紫の見事な花が大量に咲き誇り、それはなかなかの見応えだったとか。

しかし、その渡り廊下施工の時、木蓮の木は邪魔になるという事で、伐採されてしまったのだそうで…
ところが、その直後だったそうです。その木蓮の木があった付近の教室の生徒や、先生、数名が、骨折等の怪我を立て続けに起こすという奇妙な現象が起き始めたとか。
伐採の際、お祓いの様な事は一切されず、学校関係者や、一部の住人は、木蓮のせいだと気味悪がったそうですが、それも一時的な事で、その後は何も起こらなかったと言う話だそうですが…

なんとなく、そのKくんが見たという、金魚みたいな女の子…
もしかして、Kくんは、金魚みたいな木蓮の花のドレスをまとった女の子を見たのではないか…
そんな気がしてなりません。