あれは、私が小学校5年生の時のことです。
学校が終わり、その日は一人で家に帰る道を歩いていました。
周りには、色々な学年の子が笑いながら話しながら、帰路についていました。私が当時住んでいた家までの道に横断歩道が一つあり、右側には幹線道路があり、スピードを出して走る車が多く結構危ない道でした。
その横断歩道の信号が赤に変わり、私や周りの子たちも立ち止まりました。
すると、いつからいたのか幹線道路の中央付近に、黒猫が一匹道路を横切ろうとしていました。
周りから「猫がいる!」「危ない!」「渡れるのかな?」と、言葉が飛び交っていました。
そうこうしているうちに、青になるのを待っていた車が、走り出しから凄いスピードで出て行きました。
この車は黒色だったと思います。
すると、どうしたのか赤信号で止まっていないといけない車も飛び出してきました。
この車は白色だったと思います。
青信号で走り出した黒の車と、赤信号を無視した白色の車が、「ガシャーン!!」と、とても大きな音を出して正面衝突事故を起こしました。
黒い車と白い車の間には、あの黒猫が挟まれました。
周りからは、「きゃー!」「わー!」と悲鳴が聞こえてきました。
「猫は?」誰かが言いました。
猫の安否は確認しなくても、みんな分かっていたと思います。
事故を間近で見てしまった事、下校途中の児童が多かった事、学校にも近かった事で、先生たちも駆けつけてました。
泣いている子は、先生が学校に連れ戻していったのを覚えています。
私は何故かその場から動けなくなり、ぼーっと事故現場を見ていました。
程なく警察が来て、どちらかの運転手が救急車で運ばれて行きました。
一人の警察の人が赤い血で染まった黒猫に布を被せていました。
私は「あぁ、やっぱり助からなかったんだ…」とあまり感情がなく思っていました。
その時でした。
死んでいる筈の黒猫が起き上がるのを見ました。
でも、道路には血塗れの猫の遺体があります。
「なんで?なんで?」と少しパニックになりながら、目を離せずにいました。
怖くて、でも目が離せなくて、そして動けなくて。
多分、あれが金縛りだったのでしょうか。
私の視線に気づいたのか、黒猫が私の方を見て「にゃぁ。」と一鳴きして、すーっと消えていきました。
その瞬間から身体が動くようになり、急いで家に帰りました。
帰ってからは、母親に事故を見た事、黒猫が犠牲になった事、その黒猫が消えた事を、泣きながら話しました。
あまり信じてはくれませんでしたが、その日を皮切りに、色々な心霊体験をする事になり、怪我をしたり、事故に巻き込まれそうになったり、今日まで危険な体験をしています。
その後の話は次回があればしたいと思います。