時計の秒針の音は亡くなった2階の住人の音だった心霊話

恐怖の心霊体験談

20年ほど前の出来事ですが、今でも昨日の事のように思い出せます。当時、大学を出て個人の産婦人科に医療事務として務めだしたのですが、毎日充実して忙しい毎日を過ごしていました。

いつもは余裕なくギリギリの時間に職場に着いていたのですが、ある日の朝、少し早めに職場に着いた為に看護婦や事務員達が休憩をとるための部屋に1人で座ってお茶を飲んでいました。

当時はスマホも無く、朝はテレビをつける習慣もなかった為に館内は静かでした。いつもは最後の方に出勤していたので、なんだか初めての場所に来たような感覚で爽やかな気分になっていました。

お茶のコップを両手に挟み、ふと考え事をしていると、時計の秒針の音が「こつこつこつ」と、結構大きいなぁと感じました。

いつもランチの時間などにはみんながいて騒々しいので、ゆったりしないと気がつけないなぁ…などとぼんやり考えていました。

そして、少しすると職員たちが出勤してきはじめました。

「今日は早いねぇ、どうした?」などと半分からかわれながら、ふとその人に告げました。「ここの時計って、秒針の音大きいね」。すると…。2,3人集まってきた職員たちが不思議そうに首をかしげながら「ここの時計って、秒針あったっけ?」。

不思議に思って見上げてみると、確かに秒針は無く、音もしなくなっていました。

その時はただただ不思議なだけで、恐怖感とかは全然ありませんでした。ですが、その後にとてつもなく恐怖になり、数日後に私はその産婦人科を辞めました。
私が体験した音のことが婦長さんと院長の耳に入ると、なんと皆を集めて話があるとのことでした。いったいなんなの?と皆顔を見合わせました。

婦長さんと院長からの話はとてもかわいそうな話でした。婦人科の疾患があり入院していた方が、数年前に二階の病室で亡くなったことがあったそうです。そして、夜勤をする婦長さんとと夜勤対応の看護師たちの間では、2階の足音については問題視されていたそうです。

なんとなく聞いていた、時計の秒針の音だと思っていた音は、なんと亡くなった方が2階の廊下を歩く足音だったということなのです。みんなふるい上がり、口々に怖いと言い出しました。そこで、お祓いをして頂き2階の廊下の隅に盛り塩をしました。
私はその後、その病院を辞めました。

何度思い返しても恐怖感がとれずにいたからです。私しかいなかった朝に、何かを訴えかけられたのかと思うと、どうしてもその病院にはいられませんでした。その後、その病院の職員たちとも音信が途切れ、その後足音が途切れたのかは確認できていません。

無意識に時計の秒針だと思い、ぼんやりと座っていた自分を思い返すと、いつも寒気がしてしまいます。