私の大好きなおばあちゃんの最後の自宅への訪問

不思議な体験談

23歳の時に、当時一緒に暮らしていた祖母が病院での闘病生活の末に、亡くなりました。

大分県在住。Sさんの体験談。

今からお話する体験談は、祖母の葬儀の全てを終了し、自宅に帰宅した際に起きた私と兄が体験した体験談になります。

生前、祖母とは家族と一緒に住んでいて、私も兄もとても可愛がってもらいました。

胆管がんの闘病をしていた祖母は、最初は抗がん剤治療をしていましたが、なかなか回復の兆しが見えず、最後は病院の緩和ケア病棟での生活になりました。

なかなか自宅に戻ることが許されない生活の中で時々「家に帰りたい」ということも多くなりました。

緩和ケア病棟での生活が長くなり、医師からもいよいよ最期の時が近くなっているという時に、私も家族も緩和ケアの病棟に通い少しでも一緒の時を過ごせるようにしました。

しかし…私たちの看病ももなしく、祖母は闘病の末に、祖母の姉妹に見守られて旅立ちました。

誰もが早すぎる。もっと生きてほしかった。という思いが隠しきれなくて、私も兄も葬儀のお別れの言葉で言葉を詰まらせ、大号泣しながらお別れを告げました。

葬儀一式が終了し、お世話になった葬祭センターを後にして、帰宅したときの事です。

家族全員で葬祭センターに行っていた為、何台かの車に分散しながらの移動になりました。

遺影と共に帰宅し、自宅の祭壇へ祖母の遺影を置き、家族みんなが家の中に入って最後の片づけと夕飯の準備をしていました。

その時、私と兄もそれぞれ別の部屋で片づけと夕飯の準備をしていました。そのとき…

【バン!】と車のドアが閉まるような音が外から聞こえました。

私は親戚もしくは家族の残っていた誰かが帰宅したのだと思っていました。

しかし…いつまでたっても玄関のドアが開くこともなければ、別の誰かが帰ってきた様子もありませんでした。

私は母に「誰か来たんじゃない?」と聞きました。
ですが、母はもちろん周囲にいた親戚も「皆帰宅したし、それ以外は誰も来てないよ」とちょっと困った顔で答えました。
そこに兄も来て「俺も車のドア閉まる音聞いたんだけど…」と言い始めました。

誰も来ていない、みんな帰ってきているということから家族の間では。
「おばあちゃん、最後にありがとうって言いに来たのかもね」という話になりました。

皆に愛され、悲しまれながらも最後の時を一緒に過ごした。

祖母は旅立つ前に、実家によりみんなにありがとうと言いに、無言の帰宅をしたのだと。

家族みんなでちょっと安心して不思議な気持ちになりました。ちょっと不思議なけど、思い出すとほっこりする体験になりました。