これは私が中学生の頃の話です。その日は休日で、前日に遅くまで部活動に励んでいたため私は酷く疲れていたため昼寝をしようと二階の自室にあるベッドに横になりました。疲れていただけはあってすんなり眠気はやって来て、私は寝てしまいました。
ですが私はふと目を覚まします。
今何時だろうと思い、枕元の時計を見ようとしました。ですが、体が動きません。自分の腕や足がシーツに触れているという感覚はあります。でもどうあがいても動かすことができないのです。
しばらくもがいたあと、私はこれが金縛りであると気がつきました。ですが今まで霊感なんてものがなかった私にどうして突然こんなことが起こったのか理解できず、しばらくそのまま呆然としてしまいました。
それでもこのままぼーっとしているわけにもいかないので、ひとまず助けを求めてみようと思いました。幸いにも一階には母がいますから、大声で叫べば気づいてくれるでしょう。
助けを呼べば、この現象をなんとかすることだって可能なはずです。しかしそんな考えを嘲笑うかのように、私は声すらも出すことができませんでした。
万策つきて参ってしまった私がどうすればいいのか悩んでいると、不意に部屋のドアが開きました。寝そべっている私からは死角になっているため、誰が入ってきたのかは見えません。
ですがとっさに嫌な予感がした私は目をつむり寝たふりをしました。
するとその誰かの足音が近づいてきました。どうかどこかへ行ってくれ、いやそもそもお前は誰なんだと心のなかで思いつつ、私はひたすら寝たふりをします。
ですが次の瞬間、誰かが私の目を上に手のひらをかざしたような気配がしました。
さっと嫌な汗が流れます。本格的に意味がわからなくなり、私が必死で目を開けるのを我慢していると、さっきまでは微塵もなかったはずの眠気が襲ってきました。そして私はついにその姿を見ることなく、また眠りについてしまったのです。
次に目を覚ましたとき、すでに誰かはいませんでした。当然のように体も動かせますし、不調だと言う感覚もありません。
私はあれが誰だったのか気になり、そのとき唯一家にいた母にそれとなく聞いてみたのですが、その時間母は私の部屋はおろか二階にも行っていないそうです。
あれは夢だったのか、それとも現実だったのか。今になっては分かりません。ですが霊感の欠片もなかった私にとっては非常に怖く、また不思議な体験だったことには間違いありません。