私の20代の頃の体験です。いつも通りベッドで就寝中、今までに聞いたことのないような、キーンという高い金属音が大きな音で頭の中で鳴り始めました。そのあと、感じたことのない種類のこめかみ辺りが締め付けられるような不快で強い頭痛が来ました。
言い換えると、まるで孫悟空の輪っかが私の頭にはめられていて、三蔵法師がブツブツとお経を唱えているような感じです。
あまりの異変に驚いて「目は覚めた感覚」がハッキリとあるのに、身体が全く動かず起き上がることもできない…金縛りだ!と思いました。
何度も何度も渾身の力を込めて起き上がろうとしても、微動だにせず。
動かない状態が長い時間つづき、徐々に恐怖心と焦りの気持ちも増して行き『このままでは死んでしまう』と思いました。
戦う相手も戦う術も全く分かりません。助けを呼ぼうと思い、叫んでみても声も出ない。何もできない…
何度も何度も起き上がるためのチャレンジを繰り返し繰り返し。それでも全く、指一本動かすことができない。甲高い金属音と頭痛は治まる気配もなく、どうしたら良いのかも分からない恐怖。音はどんどん強くなってきます。
諦めず起き上がることだけに集中。そんな恐ろしい時間をどれくらい過ごした頃でしょうか。
やけくそになり『わー!!!!』っとありったけの力で叫びながら(叫んだ気持ち)体に力を込めます。
その瞬間、身体がフッと軽くなり「やっと金縛りから抜け出せた!」と思いました。
これまでもたびたび金縛りには遭っていたので、安心して寝直そうと思った時。何かがおかしいことに気がつきました。
わたし、起き上がっていない。横になったままなのです。
横になったまま、フワフワした違和感があります。
『あれ?』と思い自分の体を確かめる。
横になった状態のまま、自分のカラダから軽くなった自分が抜け出し初めて浮かんでいる。
正確には浮かび始めている状態でした。
金縛りじゃなくて、幽体離脱???
考えているうちに、少しずつ剥がれて行ってしまいます。
ここから、新しい恐怖心が生まれてきました。
剥がれ切って戻ることができなくなったら、本当に死んでしまうのではないか?という恐怖。
話には聞いたことのあった幽体離脱。「どこへでも飛んで行けて面白そう」とか軽く思っていたけれど、実際になってしまったら焦りしかありません。
自分の意思で抜けた訳でもなく、経験したことのない金属音と頭痛の後だったから!!
今度は身体が近くにあるうちに、焦りながらももう一度戻る事だけに集中します。
どうしたら良いんだろう…と途方にくれている間にも体は浮いてくる。どんどん剥がれる。
必死になり『戻れ戻れ戻れー!!』と下へ落ちようと何度も何度も。本当にどれくらい念じた後でしょうか。
身体が重たくなった感触と共にものすごい疲労感。
やっとの思いで自分の体に戻り、ズシっと重力を感じました。
このまま直ぐに寝なおすのは怖いと感じつつ、これもまた感じたことのない疲労感に誘われるがままに結局寝てしまいました。
朝目が覚めたとき「生きていた!」と実感してものすごくホッとしたのを覚えています。
出来れば2度と経験したくない出来事でした。