学生時代、幼いころから幽霊が見えてしまうのが悩みだという友人がいました。ほぼ毎日のようにいたるところで幽霊を見ていた彼女でしたが、修学旅行で沖縄の防空壕に行った後、彼女は一切幽霊が見えなくなったとそうです。
学生時代の友人に霊感の強い子がいました。
「昨日家に帰ったら玄関先に人が座っていた。家の中に入るのがすごく怖くて仕方なかった」「昨日は家の屋根の上に男の人が立っていた」
と、毎日のように話していました。彼女は物心ついた時から幽霊が見えるようです。そして、修学旅行で沖縄の防空壕に行く、ということが担任の先生から知らされたとき、彼女はとても怖がっていました。
実際に戦時中にたくさんの人々がそこで亡くなったのですから、霊感の強い彼女に何も見えないわけがありません。修学旅行当日、先生は気を遣って「もし本当に怖くて入りたくない、という人はバスに残って大丈夫ですよ」と言ってくれました。
数人の子がバスに残ることになったものの、友人は「わたしは大丈夫。行ってみる」と防空壕に向かうことに。防空壕は地下の洞窟の中にあったので、懐中電灯がないと真っ暗で何も見えません。
霊感はまったくないわたしですらとても怖かったのを覚えています。彼女やほかのクラスメート、ガイドさんと一通り見学を終えて外に出ると、彼女はすっきりした顔をしていました。どうやら、あまり恐怖は感じなかったようです。
後日彼女はとても嬉しそうにこう言ってきました。「わたし、あの防空壕に行った日から、ぱったりと幽霊が見えなくなったんだ」と。もしかしたら、彼女にとりついていた霊を、防空壕の中にいた霊が取り払ってくれたのかもしれません。