耳元で聞こえた言葉が後日現実となってしまった出来事

不思議な体験談

不思議な体験は、海水浴客で賑わう海岸近くの公園で友人達数人が集まった時に聞こえた声が始まりだった。

久しぶりに揃った仲間だったので会話もはずみそれぞれの近況報告も含めて会話は弾んでいた。すると急に友人の一人が「そうそう、これ見て!指に血豆が出来たんだけど面白い形なの。」

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親指を差し出してきた。見てみると親指の真ん中にポツンと小さい黒い点が出来ていた。私が「あはは、日の丸弁当みたいだね」と言いかけたその時、風もないのにザザーというものすごいスピードで吹く風の音と一緒にしゃがれた男性の声ではっきりと「次はおまえだ!」という言葉が聞こえた。その声は遠くから耳元に近づき、一瞬で通り過ぎて遠ざかっていった。

その声は今までに聞いたことのない声だったし、誰かが近づいてきたのかと思い振り返った。もちろん誰もいないし、友人達には聞こえていないのか会話はそのまま続き、どうしたらそんな変な血豆が出来るのかに話が盛り上がっていた。その後もしばらく友人達と語らう時間は流れたけれど、特に寒気がするとか人の気配がする違和感もなくその日は解散して家に帰った。

寝る時間の頃には気味の悪い声の事も忘れて寝てしまった。翌日、実家に行く用事があったので車で向かい、食事のためみんなで出かける事になった。玄関で靴を履こうとした時、壁に手をついたと思っていたのだけれど、実際は引き戸の枠に指がかかっていることに気づかなかった。

母が部屋から出てきた時の引いた戸がものすごい勢いで

母が部屋から出てきた時の引いた戸がものすごい勢いでの画像

音もなくすべり、バンッと私の薬指を思いっきり挟んだ。音がしなかったので私も母も引き戸が動いたその瞬間にしばらく気がつかなかった。なぜならいつもはスムーズに動かない戸だったから。

靴が履き終わった時になんとなく薬指が冷たい感じがしたので壁(実際には引き戸の枠だったけれど)を見ると指から少し離れたところに引き戸があった。そこでやっと挟まれたことに気づいた。不思議と痛みはなく冷たい感覚しかなかったので「もしかしたら今、指挟んだかも」という私の言葉で母も驚き何度も謝ってきた。

車の中で少し痛みが出てきたが食事が終わる頃には紫色になり、翌日には薬指の爪全体が真っ黒になった。その黒くなった爪を見た時にあの言葉「次はおまえだ!」を思い出した。

あれは気をつけなさいという予言だったのか、それとも陥れるための悪者の予告だったのかはわからない。その後も何か不思議な事が起こるということもなく、ただ私の爪が完治するまで、血の塊がとれるまで1ヶ月かかった。