当時、私はスピリチュアルな体験をよくした。
福島県在住。Sさんの体験談。
中でも特に記憶に残っているのがあの東日本大震災である。それは夢という形で現れた。なんでそんな夢を見たのかわからない。
でも見たのは私の中では事実。変えることができないのだ。私は当時失業していた。次の進路を見据え、ボランティア活動に精を出していた。
障害者を支えるミュージカルのボランティア。忙しく毎日を過ごしていた。私はその時とても充実していた。自分のやりたいことをやっていたからだ。
ところがである。本番が近づいたある日のこと。何とも言いようのない感覚にとらわれる。ずどんと重しをのせたような、切羽詰まった感じなのだ。
どうしてこのような感覚にとらわれるのだろうか?
それがわからなかった。そして、その感覚は日増しに強くなる。とても嫌な感覚だ。なんだろう。この感覚。私はわけがわからず、時間だけが過ぎていった。
当時私はブログを書いていたが、「時間がない。時間がない。」ということを必要に訴えていた。なぜ、そのように感じるのかわからない。
もう、その時は理屈ではなく、そうなのだという感覚にとらわれ、どうにもならなかったのだ。私の読者からは大丈夫か?のメッセージ。
しかし、私はなんとも答えようがなかった。そうこうしているうちにボランティアの舞台の本番である。私は黒子役として頑張った。
舞台は無事成功。
本番の成功の喜びと、次の私の進路に結びつける手ごたえを感じ、余韻に浸っていた。ところがである。あの、感覚が再び私を襲う。
打ち上げの飲み会の席でどうにもならなくなった。私は席を外し、トイレに駆け込む。鏡を覗きこみながらなんでだろうと自問する。
その後、私は気持ち悪くなり吐いてしまった。疲れているのかもしれない。今日はゆっくり休もう。飲み会は2次会には出ず、帰宅することに。
私はすぐねる算段をする。震災前1週間のことである。私はすぐに寝入った。それはとても長い夜だった。そして、この夜の出来事は忘れることができないものとなった。
寝入ってすぐ、誰かが私を呼ぶのだ。
私は寝ているのか、起きているのかわからない不思議な感覚にとらわれた。私を呼ぶ存在は私を守護する存在であることが、直感的にわかった。
なぜ、私を呼ぶのだろう。一体、何なのだ。その存在は私の意識に直接伝えてくるような感じであった。とにかく、日本が危ないというのである。
そして私に見せたいものがあるとつたえてきたのだ。私はすかさず、質問をした。なぜ、私を呼ぶのか?そして感じている不快な症状と関係があるのか聞いてみたのだ。
すると、大いにあるというのでとにかく来てほしいというのだ。私は了承し、その存在についていくことにしたのだ。ふと気づくと、私は空中にいた。
空を飛んでいたのだ。眼下には日本列島が見えるくらい上空にいる。その存在はついて来るようにいう。私はあとをついていくことにした。
日本列島を北上しているようである。
関東地方から東北地方へやってきた。ここはどこだろう。形状からして仙台の上空のようであった。その辺までくると、その存在はぴたっと止まり、太平洋を見るように私にいってきた。
私はじっと見つめるようにした。するとである。黒い筋のようなものが見えてきた。かなりの長さである。その黒い筋は段々と大きくなり陸地へと近づいていく。
なんだこれは。そう、私が夢の中で見たものは津波だったのである。津波はとても大きかった。夢で見た津波は現実に起きた津波よりはるかに大きかった。
私の見積もりでは高さ100メートル以上はある。津波は一気に陸地へ押し寄せる。そして一瞬の内にすべてを破壊したのである。
目を覆う光景に私は言葉を失った。
私の頭の中はなぜ、なぜでいっぱいであった。津波は奥羽山脈にぶつかり跳ね返り引いていった。そう、夢の中の津波は日本列島の半分を飲みこんだのだ。
次の瞬間、私は仙台平野のあるところに降り立っていた。津波が襲ってくる。人々が逃げまどい、全てを破壊していった。
とにかくその光景は私が今まで生きて見た夢の中で最悪なものであった。なぜ、こんなものをみせるのか?私はそのその存在に投げかけた。
すると、覚悟が必要といってきた。そして、日本人は変わらねばならぬことを伝えてきた。なんということだ。1週間後、それは現実となる。
しかしこれでも私の夢の中と比べて現実の方がましであった。これでも、神がかった情けが働いているようである。これでもましなのだ。
そのことを日本人は神様に感謝をしなければならない。そのように先の大震災の出来事は感じるのである。