トンネルを抜けた瞬間に変わる空気と独特な雰囲気の不思議な体験談

不思議な体験談

大学時代、所属委員会の仕事のためにレンタカーを借りることがしばしばありました。借りるのは夕方、使うのは翌朝からということで、使わない夜の間、あてのないドライブを友人何人かでよくしていました。

ある夏の夜のことです。

その日も19時ごろに集まりどこに行こうか、とりあえず北の方?なんて、方角だけ決めて出発することにしました。

車内ではワイワイ騒ぎながら、お菓子をつまみながらドライブを楽しんでいると、どんどん人気のない道に。ドライブは初めてではありませんし、人気のない道、山道等々はみんな慣れっこなので、全然気になりません。どんどん進んで行くと、トンネルが。片側通行で信号によって交互に通行するという幅の狭いトンネルでした。この場所、心霊スポットらしいよなんて誰かが言っていました。

霊感と呼ばれる類のものは全く持ち合わせていない私。トンネルに対して、不思議な感じはするくらいでした。友人の中には、霊感の強い子もいて、トンネルに近付いて行くたびに、「ここ、行かない方がいいと思う!」と連発。その瞬間、それまでクリアに聞こえていたラジオが消えたのです。さすがの私もそれには、恐怖を感じました。

しかし、信号は青。引き返せるようなスペースもなかったため、とりあえずトンネルの先に行ってみることに。トンネルを抜けると、車内は急に、気温が2度3度下がったような感覚に襲われました。乗っていた友人達も、周囲の様子を注意深く見ています。

トンネルの先にあったのは、そんなに大きくはない川とその川にかかる橋。

その先には神社?お寺?に向かう山道があって、その道に沿って立っている真っ赤なのぼり。醸し出している雰囲気は、ドラマや映画でしか見たことのない心霊スポットまんまでした。さすがに、これはダメだ!とのことで、なんとかUターンをして、すぐトンネルに向かいました。

トンネルの前の信号は赤。青信号まで変わるまでの体感時間の長いこと。とりあえず、皆で後ろは見ないことを決め、信号が変わるのを待ちました。信号が間も無く変わり、無事に帰ってくることができました。トンネルから出てくると、また鳴り出すラジオ。確実にあの空間だけが日常から切り離されています。深追いしなくて本当に良かったと一安心して、またドライブに戻りました。

後日談ですが、そのトンネル、お昼間に通った先はただの山道で、ふもとの町までの抜け道になっている道だそうなのです。
では、あの時見た風景は…。