我が家で19年の間飼っていた三毛猫は、生前も猫又的な顔つきでしたが死んでからもなお、家を歩き回って食卓に登ったり、人間のお布団に潜り込もうとしていました。小柄だった彼女の独特な足音は今も鮮明に覚えています。
以前に我が家では一匹の小柄な三毛猫を飼っていました
10歳を超えたころから、明らかに人間の言葉が分かっている表情をしていました。
昔の人が「猫は年を経ると猫又になる」と考えたのも理解できると思ったものです。
歳をとっても元気で毛並みもツヤツヤ、ほとんど病気らしい病気もしませんでしたが、さすがに寄る年波には勝てず、21世紀を目前としていた年に、19歳で老衰のために死にました。
我が家の庭に墓を作ってやったのですが、それ以降、不思議なことが起こり始めました。
しょっちゅう、既にいないはずの猫の気配を感じるのです。
その猫はよく人間の食卓の上に登って悪さをしていたのですが
台所で作業をしていると猫が食卓から降りるときの「トン」という独特の音が聞こえてきた。そんなことも、一度や二度ではありませんでした。
しかし、あくまでも音や気配があるだけで、目の前で何かが起こったことはありませんでした。
そんなある夜、布団に入っていると、突然身体が動かなくなりました。
「ああ、これがいわゆる金縛りって奴かあ。」と思っていると、何かが近づいてくる気配がしました。
床の上を歩いてくるのではなく、明らかに枕の上を、小さな足で歩いてくる気配です。
それは、猫が生前、人間の布団に潜り込もうとして近づいてくるときの気配そのまんまでした。
死んじゃってからも家族に甘えたいのか……と、ちょっとしみじみと思いました。
ここまではっきりとした気配を感じさせてくれたのは、それ一回きりでした。
その後もしばらくは足音を聞かせてくれましたが
しばらく経つとそれも無くなりました。
俗に「49日の間は魂がこの世にさまよっている」などと言いますが、そういうことなのかなあと思わされました。
もっとも、この法則が猫の魂にも当てはまるのかどうかは分かりませんが。
もしくは、昨今の流行ではありませんが、死んで本物の猫又になったのかも知れません。
ともあれ、この不思議な体験から16年が経ちました。
今、我が家には、10歳・8歳・1歳×2匹の、合計4匹の猫がいます。
10歳と8歳の猫は、最近は人間の言葉を理解しているような顔をするようになってきました。とはいえ、まだまだあの猫又には及びませんが。
このまま全員が10代後半まで長生きしたら、我が家は猫又ハウスになってしまうかもしれません。
もっとも、考えてみれば既に猫ハウスなので、あまり問題はありませんね。
みんな元気で長生きして欲しいです。