これは5年程前のお話です。怖い話というより少しあたたかな気持ちにもなれる少し不思議なお話です。
私には病気で入院していたおばさんがいました。
徐々に体調を崩してしまい、亡くなる2ヶ月程はほとんど病院での生活が続いていました。そのおばさんには3歳と5歳の娘がいました。
病気でお母さんが大変というくらいは認識できていた様ですが、おばあちゃん家やいとこの家に泊まりに行けて楽しいなといった感じの認識しかありません。幼いのでそれはそれで楽しいでしょうから、当たり前の感情でしょうね。たまに不安になることもありましたが周りの親族でなるべくフォローしていました。
ある日、病院からおばさんの病態が急変したという電話がかかってきました。病院が家から遠かったのと、9時位だっつでしょうか遅い時間だったのもあり、私はおばさんの娘、私からするといとこの二人と私の家で待っていることになりました。
二人は幼かったため状況も分かっていないようで楽しそうに家で遊んでいました。少し遊んで疲れてしまったのか二人ともいつの間にか寝てしまいました。私は病院でのおばさんの状況が気になって寝れずに待っていました。
夜中の2時を過ぎた辺りで1本の電話がかかってきました。私が電話を取りました。「もしもし。~ですけど。」電話先からは何も聞こえてきません。
「もしもし~。」何度も繰り返し呼び掛けてみても返事は帰ってきません。
「ザー」といったノイズ音もしないので電波が悪い訳ではなさそうでした。後に思い返してみると不自然な程静かで無音でした。40秒程たった後にその電話は相手の方から切れました。その時は私も不思議と何だったんだろう位にしか感じていませんでした。
その電話が切れてほんの数分後に母から連絡がありました。その電話は叔母さんが数分前に亡くなったという知らせの電話でした。その時自然と、さっきの電話はおばさんが娘達にお別れしに来たんだと思いました。
「さっき電話した?」誰に聞いても「してないよ」と言うのです。夜中の2時過ぎだったのでいたずら電話という可能性は低いでしょう。未だにあの電話が何処からの電話だったのかわかりません。
私は、叔母さんが娘達に最後のお別れをしたかったので電話をしてきたのだと思っています。いとこたちは寝ていたので声を聞かせてあげることは出来なかったのですが、可愛い寝顔を最後に見れてでお別れできたと思います。
そんな怖いというよりちょっと不思議であたたかいお話でした。