なぜかあったことのないひい祖母の夢を見て夜中に目をさました。夢の中でひい祖母は鏡を探していて、鏡を探して割らないといけない人形を供養しないで死んでしまった。あの子たちに悪いことをした。どうにかしなければと呟いていた。
新潟の亡きひい祖母の家に里帰りをした時のことです
ひい祖母には2歳の頃に1度だけ会ったそうですが全く覚えておらず、中学生の時に行われた葬式にも父と祖父母が参列するのみだったため物心がついてからは1度も新潟には行っておりませんでした。
成人してから向こうへ移り住むことになった祖母に付き添い、旅行も兼ねてひい祖母の家に泊まった夜に夢を見ました。写真でしか覚えていないひい祖母が夢の中で延々と探し物をしているのです。
曰く鏡がない、鏡を割らないといけない。割らない気づかれてしまう、割って人形の供養をせずに死んでしまった。どうしよう、どうにかしないと、あの子たちには悪い事をした。そう話しながら家中を歩いていました。
起きてから変な夢を見たなと思い
祖母に笑いながらその話をするととても不思議そうに頷いて話し出しました。どうも祖母がこの家に住んでいた頃に何度も見た光景だというのです。
何を探しているのかと聞いた時に小さな頃に遊んでいた椿柄の着物を着た日本人形と桜の柄の描いてある手鏡だと言われ共に探したが見つからなかったという話でした。どうもひい祖母の遺言に鏡と人形を見つけたら鏡は割って家の四方に埋めて、人形は供養をしてくれと残っていたらしくどうやら見つかっていないようでした。
祖母は探して欲しくて夢枕に立ったのかもねと冗談めかしていましたが、日本人形など怖いイメージしかない私には探し出して遺言通りにしないと大変なことになりそうだと思い込んでいました。
気になった私はダラダラと休暇を過ごしていた兄を連れて家中の部屋を探し回りましたが全く見つからず離れにある蔵を探してみることにしました。虫干しを頼まれていたので中身を全て出しての重労働でしたが生前ひい祖父が大事にしていたという煙管盆の中に桜の柄の描いてある鏡を見つけました。
遺言通りに割ってしまおうと
祖母の元へ持って行き見てもらうとふと祖母が軒下はみたかと聞いてきました。首を横に振り軒下を見てみるとなにか板が円を描くように置いてあるところを見つけました。そこを掘り返してみると小さな箱が出てきました。
箱を開けようとすると祖母が鏡を先に埋めておいでといつの間に割ったのか鏡の破片を4つに分けて布に包んで渡して来ました。言う通り埋めてから戻り箱を開けると何やら筒を持った日本人形が入っていました。
着物の柄は古くなっていて辛うじて赤い花が咲いているのであろうということしかわかりませんでした。私はこの人形で本当にいいのかと思いつつ祖母が筒を開けるのを見ていました。
筒の中には紙が1枚と簪が1本入っていました
その紙は祖母がまだ生まれる前にひい祖母がお腹の子に向けて書いた手紙だったらしくお腹の子が無事に生まれて長生きをしてくれるようにと鏡と人形に願掛けをしたという内容でした。鏡は素敵なものを引き寄せてくれるように、人形は悪いものを引き受けてくれるようにと願いを込めていたらしいのです。
自分が死ぬ時に鏡は割って自分の代わりに家を守ってくれるように四方に埋め、人形は自分が死ぬまで子供を見守ってくれたことへの感謝を込めて供養をしないといけなかったらしいのです。
もしそれができなかった時のために少しの間悪いものを引き受けてくれる水晶の簪が入っていたらしく、その簪は全てが終わったら祖母が貰って欲しいと書いてありました。
人形を供養した後、簪は祖母がひい祖母の形見だと言い毎日髪を結うようになりました。なぜ私の夢枕にひい祖母が立ったのか、祖母は隠し場所を知っていたのではないかと疑問は残っていますがもう誰にも聞くことはできません。
祖母が私に形見だと残した水晶の簪を大切にして祖母が夢枕に立って教えてくれればいいなとおもいながら日々を過ごしています。