これは、高校一年生の時に体験したものです。
徳島県在住。Kさんの体験談。
私(男)は、毎日往復40分かけて自転車登校をしていました。高校生活に慣れてからは様々な道を通って登校をし、いつもと変わらぬ日常の繰り返しで、味気ない日々に退屈していました。
ある日いつも通り高校へ通っていると、花を挿した花瓶が電柱の近くに置いてありました。
その電柱があるのは、山を登ったところにあるもので、人通りも多く不思議な印象があるような場所ではありません。自分は、それを見たときに
「あれ、昨日はなかったよな」
と思いました。というのは、注意深く観察しながら登校しているわけではないので、昨日となにか変化があっても見抜けないように思うのです。
その花瓶は、どこにでもある一般的なモノで、小さくて見落としてもしょうがないのに、不思議にもじっと見つめてしまいました。
その道を通った後に、登った山の坂を下るようにして長い下り坂があり、その先に交差点があります。
いつも通り坂を下っていると、交差点の信号が点滅していたので
「早くいかなくちゃ」
とスピードを出して下っていると、右から侵入してきた車とあわやぶつかりそうになり、そのままガードレールにぶつかって横転してしまいました。
その二つに関連があることはないはずなのですか
当時は好奇心に飢えていたこともあって
「花瓶を見たせいで呪われたんだ!」
と友達と話して盛り上がり、一緒に見に行こうということになりました。
授業が終わり、その電柱の場所に行って見ると、どこにも花瓶がありません。場所を間違えたのだと思い、周りの全ての電柱を確認しましたがどこにもありません。
友達には見間違えたんだと言われましたが、あれは絶対に花瓶だったし、どんな花だったか(色・形)は今でも覚えています。
その後謎が解決されないまま家へ帰り、宿題をしたり、ご飯を食べたりシャワーを浴びたりYouTubeを見たりして時間をつぶし、日を跨いだ午前1時ごろに就寝しました。
今日あったことを考え、友人の言った通り見間違いだったのだろうと理解して
目をつぶった時に金縛りにあいました。疲れていたこともあって金縛りがあうことに不思議さはなく、以前から何度も金縛りにあっていたので、「あー、疲れてるんだな」と煩わしく思っていたら、目が勝手に動き出しました。部屋の構造では、自分から見て右に窓が、足元より左にドアがありました。まず上を向き、次に下を見て、窓、そしてドアの方に目を向けた時
「…5…4…」
という女性の声でカウントダウンする声が右耳から聞こえました。これは今までと違う。明らかにヤバい、と身の危険を感じ鳥肌が立ちました。寒気がする中カウントダウンは進みます。
「3…2…1…」
0になった瞬間に何が起こるんだ。もしかして本当に花瓶を見たからなのか。どうすれば、と考えているうちに
「0………」
静かな時間が流れます。
まるで時が止まってしまったような感覚でした。結果何も起こらなかった、というのが現実です。しかしドアを開けることはできませんでした。その向こうで得体のしれない何かが、まだいるという感じがしたので。
翌日になり、あの坂を登った先にある電柱に行くのが怖くなりました。
けれど確認しなければなりません。行ってみると何もなく、あっけにとられました。
あったことの全てをまた友達に語りましたが、「疲れてたんだよ」と言われ、それが妙に腑に落ちました。これ以上は触れない方が良いなと。