真夏の真夜中に家にかかってきた不可解な電話

不思議な体験談

私には弟が一人いる。その頃すでに身長も越されていたけれど一緒に居て楽しくて仲が良かった。

高知県在住。Rさんの体験談。

その弟が、夕飯食ったら自転車でサイクリングしてくると言い出した。

母親は弟をすごく可愛がっていたし、私も一人で行かせるのは心配だったのでケータイだけ自転車のカゴへ放り込むと半ば強引に一緒に行く事にした。

お互いに二十歳そこそこ、学生時代は弟は運動部、私は文化部だったので、体力の差は歴然。

行きは良かったのだが、帰りはだんだんと離され、ついには見失ってしまった。

行きの会話でクネクネって知ってる?田んぼとか草むらに突然現れて、見た人はおかしくなるんだってとか怖い話を聞かされたばっかりに余計に意識が向いてしまう。

田舎は自然が多くすれ違う人もまばらで、街灯もほとんどなくて他と比べると暗くなるのが早い。

一人だけ帰るわけにも行かず、だんだんと明るい夕焼けから薄暗くなり不安が強くなってきた。

事故に合ってたらどうしよう、引き返すのか進むのか、もしはぐれた場所で私をまだ探しているのなら…私がついてきたせいで余計に手間をかけてしまった。

辺りはもう暗くなっていた。弱々しく電灯も灯っている。帰ろう。家に向かおう。きっと弟もそうしてるはず。

家に向かう最中も弟がどこかで倒れてるんじゃないかと、草むらを見ながらだったり、後ろから追いかけてきてたら気付いてあげたいと思い振り返った瞬間、坂道で足がつかず、足が攣ってしまった。

道路のど真ん中で自転車ごと倒れた。

痛いよりもまず先に車がきて轢かれたら死ぬと思った。

もちろん歩けない、どうやってかわからないけど、自転車を引っ張りながら道路の端まで移動した。

最悪だ。早く帰りたい。

なんとか立ち上がり、ヨロヨロと自転車を押しながら家へと向かった。

その時、前から自転車の光が近づいてきた。

弟だった。あんなに安心したのは初めてかもしれない。

状況を説明し弟も自転車を押しながら歩いてくれる。

しばらくして、こんなに暗くなってしまったから俺一人先に家に帰って車で迎えにくるからゆっくり歩いてきて、と言われた。

申し訳なくて、もう大丈夫だから自転車漕げるよ

と自転車を漕いでみたらまた攣ってしまい田んぼに落ちていく格好で倒れた。

すぐさま弟が引っ張ってくれたけど、通り過ぎた車がUターンして戻ってきた。

大丈夫ですか、救急車呼びますか?って、言ってくれたけどそんな大事にしてほしくなかったのでお断りした。

もう自転車は諦めて弟の案に乗るしかなくなった。

真っ暗な道をトボトボと自転車を押しながら私は歩いた。痛くて、不安で大いに後悔した。

10分もしないうちに弟が来てくれた、ありがとう。

車に自転車を乗せようやく私は家に帰れた。

家に着いた瞬間にふと思い出す、あれ?ケータイが無い。本当に最悪だ。かなり怒られた。

家族で車2台で探しに戻る。

弟は私のケータイに、『このケータイの持ち主が困っています。拾った方は〇〇まで連絡してください』と家の電話を載せたメールを送ったみたい。

きっとコケた時に自転車が倒れて反動で落ちたんだろう。どこでコケたんだっけ。結局大人4人で探すも見つからず、その日は諦めた。

次の日朝早くに弟と探しに行ったら見つかった!

ほっと安心した。ケータイを確認するとメールは開かれてない。と言うことは誰も拾ってなくて草むらに落ちてただけだったんだ。

しかし、その日の24時ピッタリに家に電話が鳴った。

なんだか気持ち悪くて取らなかった。

次の日もその次の日も電話は24時ぴったりに鳴る。

もしかして、私のケータイのせいか?

だんだんと怖さより怒りが、強くなってきた。

次鳴ったら私が取るから。その日は電話の前で待ち構えていた。

11時59分、緊張がマックスになる。

24時、、電話は鳴らなかった。

その日以来24時ピッタリの電話は来る事はなかった。

なんだったのか、逆に電話を取っていたら、と考えると気味が悪い。