霊感が強くなり幽霊を頻繁に見るきっかけになった不思議な話

不思議な体験談

私は派遣の仕事を終え、先に自宅に帰りました。まだ夕方の17時でしたので、冷蔵庫の中身をチェックし、夕飯の支度をするためにスーパーへ。夕方のスーパーは戦争です。おばちゃん連中を押しのけて、私は夕食の食材を購入しました。

父と東京で暮らし始めて3ヶ月ほど、たったある日。

親子そろってお酒が好きで、その日のメインはチキンステーキだったので、ワインを購入し、いざ帰宅。

・・・ん?

妙な違和感を感じたんです。さっきまでここに誰かいたような、今もいるような・・・もちろん父はまだ帰ってきていません。
部屋の中も何も変わっていません。

うちのアパートは6部屋しかなく、残りの五部屋を家主さんファミリーや、その親戚が使っているという、ちょっと変わった環境で、この時間になると家主の子供たちが、階段を降りたり、上ったりと遊んでいるので、たぶんそのせいだろうと特に気にも止めませんでした。

19時半くらいでしょうか、私はあらかた準備を終え、雑誌を読みながら、ビールを飲んでいると、父が帰宅しました。
「おかえり」
「ただいま」

いつものやり取りでしたが、靴を脱ごうとする父の顔が一瞬曇りました。
「あれ?今日お前休みだったっけ?」
「違うよ、仕事だったよ」

何でそんな事を聞くのだろうと、思いました。いつもはそんな事聞かないのに。
とりあえず私は夕食の準備をし、テレビを付け、二人で夕食を食べました。
食事を終え、余ったチキンステーキと、自家製ピクルスをつまみにしながら、二人でワインを空けました。
半分くらい空けた時に、私は父にさっきの質問について聞いてみたんです。

「いや、何か、家に入った時に人の気配がしてな、お前が休みで家で誰かと会っているんだと思ったんだよ。」
父の答えに、妙な寒気がしました。私もさっき同じことを感じたのですが、怖くて、逆に父に言えませんでした。
気にしない、気にしない、と自分に言い聞かせ、二人でワインを空けて、床につきました。

うちの間取りはワンルームなのですが

15畳ありました。正方形に近い形になっており、玄関を開けると左右に窓があります。
玄関の左手にユニットバスと小さなキッチン。男の二人暮らしなおで、全く不便は感じていませんでした。

寝るときは、父が折りたたみ式ベッド、私は布団で、玄関に足を向ける形で、並んで寝ていました。
その夜、定かな時間はわからないのですが、私はいきなり目が覚めました。

眠りから覚めたのではなく、敢えて起こされたような感覚です。
父のいびきが聞こえました。
妙に居心地の悪さを感じ、私は水を飲もうと思いました。
・・・動かない。
体が動かなかったんです。父のいびきは聞こえるし、目も動くのに、体が動かないんです。
俗にいう金縛りでした。

そこで初めて恐怖を覚え、血の気がサーっと引いていったんですが、妙に冷静な自分もいて、動かないならこのままでもいいや、と開き直ることにしました。
すると、ちょうど玄関のドアの上に何だかモヤモヤしたものが出てきたんです。

煙?いや、少し違う。これは・・・雲?モヤモヤは次第に濃くなり、ある一定の形で固まり、そして青かったんです。
怖いというか何というか、何か変なものを見ているなぁ、と不思議な気持ちになり、その雲をずっと眺めていました。
すると、父がいきなり起き上がり、自分の左手にある窓を思い切り、開けたんです。

すると青い雲はサーっと流れる様に外へ消えていき、無くなりました。
私は電気を付け、今見たもの、そして部屋で感じたことを素直に話したんです。
そこで初めて知りました、父が幼少期から不思議な力があることを。
きっかけは18歳、免許取り立てで、真夜中田舎の旧道を走っていると、いきなり車の上に何かが落ちてきたような衝撃を感じ、車を止めたんだそうです。

慌てて車を降りると車の上に白い蛇のような

でも角があり、牙もある、白い龍のようなものが乗っていたんだそうです。
目が合い、しばらく見つめていると、龍は何も言わず、空に昇って行ったそうです。

父も、何かの見間違いだと思っていたらしいのですが、その日から父は不思議なものが見えたり、感じたりするようになったんだそうです。
先程の青い雲、私には雲に見えたのですが、父曰く、若い男性の魂だと言い、私にこう言っていたんだそうです。
「ずっと、ここにいてもいい?」

それを聞き、父は慌てて、窓を開けたんだそうです。話し終えると、父は右側の窓も開け、今日はこれで寝ようというのです、通っている、と。
通っている、という言葉が気になりましたが、私もそのまま寝ることにしました。

しかし、そんな話を聞いた後にすぐに寝れるものではありません。私は耐えられず、目を開けました。
すると、通ったんです。
商店街を歩くように、自然に、白い服を着た女の人が。
私は怖くなり、布団を頭から被り、気付いたら寝ていました。

父のきっかけは龍、私は青い雲。
その日をきっかけに、私も父と同じような不思議な体験をすることになります。