怖話短編集

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不思議な体験談

医療実習先での出来事、担当患者様の奇怪な行動

あれは私がまだ専門学校生時代のこと。実習生としてA病院に配属され、そこでの患者様のリハビリ補助として置かせてもらっていた時の話です。

そのA病院の3階フロアの回復期病棟ではリハビリ室での運動の他、病棟の廊下を使って歩行の練習ができる作りになっていました。

医療実習先での出来事、担当患者様の奇怪な行動の画像

廊下は端から端までは200mほどあり、廊下の真ん中には白線が引かれ、片側左通行で患者様は皆、歩行の練習をしていました。私はKさんという認知症のおじいさんの担当につかせてもらいました。Kさんは病棟の端の部屋に入院されている方でした。

その日、私は「Kさん、一緒に歩く練習をしましょう」と私は声をかけ、廊下を歩いてもらいました。入院患者様とはいえ50m、100mと足取りは軽く、軽快に歩くことが出来ました。しかし、端までもう少しの180mほど歩くとややふらつきが見られ、右側のレーンに入って2,3歩程歩き、また左のレーンに戻るという動作が見られました。

「今日は、リハビリもありましたし、少し疲れているんですね」私はそう言い、端の休憩スペースで休んでもらいました。

その後、また左側通行で反対側の端にある自室まで歩いてもらいました。今度は、ふらつきもなく部屋まで戻ることができました。それから何日か経って、「Kさん、今日も歩きましょう」とまた廊下を歩く補助につきました。

この日も、やはり180mほど歩いたところでややふらつき、右のレーンへ入り、2,3歩歩いたところで左のレーンへ戻るという動作が見られました。この日他にリハビリはなかったはず。そして帰りはすんなりふらつきもなく自室まで戻ることができます。きっとこの日も疲れていたんだろう、そう思うようにしてあまり気にも留めませんでした。

しかし、次の日も、そしてその次の日もやはり180mほど歩いたところでふらつきが見られました。

そしてその次の日もの画像

注意深く観察していると、ふらつく前にそのKさんはお辞儀をするような仕草をすることが分かりました。まさか、何もないところでお辞儀をするなんて認知症だからかなぁと思いましたが、頭の片隅では少し背筋に冷ややかなものを感じたことを覚えています。

そして、その動作は私が実習を終えるその日まで観察することができました。

最後だし、聞いてみようか、どうしても気になって頭から離れないその疑問を、その日、端の休憩スペースで休んでもらっている時にぶつけてみることにしました。「Kさん、さっきは誰にお辞儀をしていたんですか?」と聞いてみることにしました。Kさんは「なに、ここ数か月ばあさんが同じところに立っていてね。手招きをしているんだよ。」

そう言ったときはゾクリとしました。頭の片隅で考えまいと思っていたことがその通りだったとは。Kさんにしか見えない何かに会釈して、ふらついているように見えていた動作は、ただ、その見えない何かを避けていたのだと。

それから私は学校に戻りましたが、そのおじいさんが亡くなったのはあれから間もなくだったそうです。

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