高校1年生の冬、私は貧血で階段の一番上から頭から落ちて意識を失った。するとフワフワと不思議な感覚が私を包み込んだ。そして私は宙に浮いていることに気づいた。しばらく宙に浮いた時、再び自分の中の意識が飛んだ。今度は、床も天井も壁も真っ白な空間に閉じ込められていた。
あの時の事は今でもはっきりと覚えている。高校1年生の冬、夜中に喉が渇き目が覚めた私は1階のキッチンに飲み物を取りに行く為にベッドから降りた時に貧血で突然倒れた。
だが、その時は数分して目が覚めた。「このままだと、また倒れる!!」と思った私は両親に補助を頼もうと思い呼びに行くことにした。
両親の部屋は隣だった為、すぐに部屋に着いた。そして今度は両親の部屋で倒れたのだ。両親は倒れた時の音で目が覚めたようで気づいた頃には私の隣で心配そうにしていた。
両親に「喉が渇いたからキッチンに行きたい」と伝え、補助してもらうことにした。しかし、私は、階段の電気を点けてからの記憶が全くない。
気がついた頃には救急車に乗っていたのだ。そして私は階段から落ちてから救急車に乗っていることに気がつくまでの間にとても不思議な体験をした。突然フワフワとした感覚に包まれたのだ。
そして目を開けると自分が宙に浮いていた。宙に浮いた私が見ていたものは、担架に乗せられ頭が血だらけの自分だった。そのすぐ近くには両親、祖父母が状況が理解できずにいた。この時わたしは「死ぬんだ」と思った。
しかし、その後に宙に浮いていた自分が意識を失う。目が覚めた頃には、壁も天井も床も真っ白な空間にいた。窓やドアもなく、汚れが一つもないとても綺麗で不思議な空間に独り”ぽつん”と座っていた。
「座っていてもつまらない、まずは出口を探さなければ」
と思った私はその空間の中をひたすら歩き続けた。やはり出口がない。
「もうダメだ。これは死ぬ前兆なんだ」と思った時、上の方から私の名前を呼ぶ声がした。助けを求めるようにその声の方向に近づいた。
背後に何かの気配を感じた私は振り向こうとした時、振り向くことを止めるかのようにとても眩しい光に包まれた。
そして私が意識を取り戻したことに気がついた救急隊員は驚きの表情で「自分の名前わかりますか?」と聞いてきた。
私は生きて帰ってくる事が出来たんだと思い涙が溢れた。そしてずっと握っててくれた両親の手を思いっきり握った。
その後病院で応急処置と頭部の検査を受けて両親の元に戻ろうとした時、担当医師と両親が話している声が聞こえた。
その話によると「傷があと1センチずれていたら死んでいた。後遺症もなく生きていることが奇跡。」と言っていた。その時あの空間で私は生と死の間を彷徨っていたんだと確信した。