中学一年生の時でした。わたしは夢を見ていました。夢の中で友達数人と知らない子どもたちと輪になって、歌いながらマイムマイムのような踊りを踊っていました。みんなで楽しく踊っていると、わたしの隣にいた4歳くらいの男の子が歌詞を間違えたんです。
そのことを、わたしと友達で「何歌詞間違ってんのー!(笑)」「ちゃんと歌ってよー(笑)」とからかって笑いました。
そうするとその男の子は下を向き肩をプルプルと震わせ、繋いでいたわたしの手をぐーっと握り締めてきました。「痛い!」と言っても離してくれず「ねえ!痛いよ!!痛い!!」と夢の中でわたしは訴えました。
すると自分の「痛い!」という声で起き、目を開けると金縛りにあっており身体が動かなかったのです。
身体は動かないか左手に痛みを感じ、辛うじて動いた目だけを動かして横を確認してみました。するとそこに、夢でわたしの隣にいた男の子がすごい力を込めてわたしの手を引っ張っていたのです。
少し透き通った身体は青白く細くて、髪はマッシュルームヘアー。どう見てもこの世の者ではありませんでした。
声も出ず、隣の部屋にいる家族へ助けを求めることもできません。初めて見る幽霊にわたしは戸惑い焦りました。このままではあの世に連れていかれてしまうのではないか、そう思ってとても怖かったです。
「わたしには何も出来ません。わたしには何もしてあげられません。
お願いですからあるべき場所に帰ってください。」と心の中で何度も何度も繰り返しました。そのままわたしは気絶し、気付くと朝になっていました。「生きている……」そのことにどれだけほっとしたか。
よくホラー映画である手形が残っているなどということもなく、あれは悪い夢だったのかもしれないと思いながら一日を過ごしました。しかし、常に視線を感じるのです。どこにいても視線を感じるのです。
気持ち悪いなあと思いながら過ごしていると、ふっとわたしの目の前をあの少年が通り過ぎました。わたしはぎょっとしました。その時は気のせいかもしれないと思い気にしないようにしました。
しかし、家に帰ると霊感のあるお母さんに「あんた、何連れてんの?どっから連れてきた?」と……。「え、なんのこと?」と聞くと「あんたの近くに男の子がいる。どこから連れてきた?」と……。夢の話をすると「そうか、その子は寂しかったんだね。きっとあんたと遊びたかったんだよ。
害がないなら無理矢理祓うこともないから放っておきなさい。」と言われました。その言葉通り特に何をするわけでもなかったので放置していました。一週間くらいして気付くと男の子はいなくなったいました。