唱えてはいけない「私、怖いから近寄らないで!」怖い実話体験談

恐怖の心霊体験談

小学4年生の頃、クラスで心霊についての話題が流行っていた。その中で、「怖い気持ちになったら、逆に強気になって、私怖いから近寄らないで!と言えばいい」というおまじないの存在を知った。

ある夜、家族で心霊番組を見ていた。

寝室は姉と一緒だし別に大丈夫と思っていたが、実際ベットに入ると、部屋は同じだけれども、寝ている場所は少し離れているので姿は見えない。そうすると1人で部屋にいるような気がして、怖い妄想が止まらなくなってしまった。

その時、姉と一緒に寝ている猫のいびきが聞こえてきた。恐怖心が和らぎ、気持ちに少し余裕ができ、おまじないの事を思い出した。

「そうだ、強気でいれば大丈夫なんだ。姉も猫も一緒の部屋にいるし、怖くない、大丈夫。」とおまじないを心の中で唱えた。

「私、怖いんです。近寄らないでください!」すると、それまで聞こえていた猫のいびきが変わり始めたのだ。

すぴーすぴーという音から段々と苦しそうなうめき声に変わったのだ。気のせいだと思ったがあまりにおかしい。そもそも猫からこんな声でるのか?というくらい別物になっていた。これで辞めればよかったのだが、気のせいを振り切りたい一心で、もう一度おまじないを唱えた。

「私、怖いんです!近寄らないでくださーい!」次の瞬間、唱えたことを後悔した。

それまで離れたところから聞こえていたはずのうめき声が耳元まで一気に近づいてきたのだ。それはもう猫の声ではなく男性の低いうめき声で、熱を感じるほど真横に何かがきたという感じがした。

恐怖で身動きがとれず、体は震え冷や汗が止まらない。もう一度おまじないを唱える勇気はなく、ひたすらどうしようどうしようとパニックになった。もう姉や猫の気配も分からない。真横に、耳元になにかきたということだけしか分からなかった。何かないかと必死に考えた結果、南無阿弥陀しか出てこず、ひたすらそこだけを復唱し続けた。

心臓がバクバクなり呼吸するのですら怖く全身に力が入って早く時間が過ぎることを祈った。そして、気がつくと朝になり、ハッとして振り返った。

そこには当然何もなく、朝日が差し込んだ明るい部屋。どのくらいの時間の出来事だったのか、夢だったのではないか、しかし体はまだ強張っていてパジャマは汗でびっしょり。起きた姉に夜の出来事を話しても何も無かったとのこと。

やはり自分の妄想だったのか…だとしても耳元に残る熱と声の響き。それから私は絶対にそのおまじないを唱えることはなかった。