病院にありがちな幽霊話ですが、その体験を通して就職について考えた体験です。病院の先生及び看護師やスタッフには、資格を持つ表向きの仕事以外に、やはりわずかでも特殊能力があるのでは、と思えた事などです。
失業中家族が大病を患い大きな大学病院に長期入院することになりました。若い看護師が多かったせいなのでしょうか、毎日見舞いに顔を出していても、緊急病院にありがちな忙しくて殺伐としがちな職員の荒れた様子はなく、深刻な患者の数が多い割には、病棟には明るい雰囲気がありました。
まだ新しい病院の建物の中は清潔で整然としており、行き届いた空調で、消毒された空気と適度な気温・湿度が保たれていました。
私自身持病を持っていたせいか、この環境は体に心地良く感じていたため、これまでの職務経歴と全く関係なくても、実益を兼ね介護関係の資格を取ろうかとも考え始めました。
ところがある日、病室沿いの廊下で、上品でスラッとした初老の男性が窓際の壁に腰をつけ中腰で片手を顎にあて、目を伏せて深く悩んでいる姿が目に入りました。
しかしあきらかにその姿は透けており、ハッキリと顔の詳細まで見えるのですが、実在の存在ではありませんでした。
私は霊感はほとんどないため体験は少なく、やはり怖かったのですが怖ろしい感じは受けませんでした。
むしろ、何か伝えているかのように思えたのですが、私になんとかしてあげられる能力はないため、少し切なく感じました。
それと同時に、環境がいくら体に良いからといって、安易に医療関係の仕事に就くのは難しく思えたのです。
世の中に大変な現実の仕事以外でもできる人ばかりいるわけないのですが、自分の受診の時やそうでない時でも、病院に行って帰る道筋等で、体の具合が良くなっている事に気がつくような不思議なことが何度かあると、流石に大病院だなあ、と感心してしまうのです。