私は、幼い頃に田舎の習慣で親戚の古民家に宿泊することになりましたが、夜にひとりトイレへと向かう時に、白い人影を見ました。偶然見つけた部屋に居たその座敷わらしは、幼くして病死してしまった親戚家族の長男の霊でした。
生まれてから初めて親族の自宅へ宿泊した時の話です
私がまだ幼い頃は、当地の田舎の慣習で春夏秋冬、季節の変わり目には親族を自宅へ招いて宴会が行われていました。
相変わらず大人の宴会に付き合った後に、仏間がある座敷に布団を敷いて眠りました。
私の姉も、同じ座敷で別の布団を敷いてから眠りました。
私は夜中にトイレに行きたくて仕方がなくなったために、隣の布団で眠る姉を起こして、一緒についてきてもらおうとしましたが、姉は起きてくれません。
仕方がなく、たった一人で襖を開けて廊下に出ました。
当時、私の家よりもさらに築年数のある古民家の廊下は、余程の悪天候でもない限り扉を閉めない事が多かったため、廊下は真っ暗で、キジか鹿か分かりませんが、野獣の鳴き声が響いていました。
あいにく、親戚の家のトイレは屋外に設けられていたので、勝手口からスリッパを履いてトイレのある外へ出たんです。
なんとか、間に合い用を済ませてから手を洗っていると、庭から窓に向かって「スー」と何かが通り抜けた様に見えました。
一人で怖くなった私は、急ぎ足で勝手口へと戻りました。小走りに走ってきたので、「ゼーゼー」と息を切らしながら屋内に着いて安堵していると、また「スー」と気配がしたんです。
私は早く部屋に戻ろうと思い元来た道を辿りました
しかし、廊下を途中まで歩いた時に、さっき来た廊下じゃないことに気づいたんです。
おろらく、左右に別れた廊下を間違って歩いてきてしまった様でした。
そこで引き返すことを試みたんですが、目先の部屋の障子が明るく見えたんです。
私は、こんな時間にまだ電気をつけて、起きている大人がいるんだと思いながら、その障子をガラッと勢い良く開けたんです。
明かりが点いているように見えた早に電気は点いておらず、一人の子供が座っていたんです。
私は、その時に何故か、姉がいる。と思い込んで、「おねいちゃん?」と声をかけたんです。
すると、目の前の子供が振り向いたんです。
坊主頭の男の子です。
私は、夢を見ているのだろうと思いながら目をゴシゴシとこすりました。
坊主頭の男の子は部屋の中でただ座ったまま、何も言わずにいます。
わたしは、「おねいちゃんじゃなかったんだ。」と思いながら元来た道を辿りました。
部屋に戻ると、姉は気持ち良さげに「すやすや」と眠りについていました。
わたしは、そのまま明け方まで何事もないかのように、眠りにつきました。その家の長男が6才で病死していた事実を知ったのは、大人になってからのことです。あの部屋は子供部屋に使用されていたそうです。