亡くなった職場の同僚宅に手をあわせに行ったときの不思議なメッセージを今でも忘れません。私を通して、大切な家族にあの世からも見守りの言葉を伝え続ける故人を思い、私は今でも手を合わせずにはいられないのです。
これは私が以前勤めていた仕事先での不思議な出来事です
私はとある現場の最前線で仲間と仕事をしていたのですが、仲間の一人が精神的に病んでしまい、仕事を辞めてしまったのです。
その後、私は結婚や妊娠などが重なり、とかく多忙な日々になり、その辞めていった人物のことを気遣う時間が減っていきました。
そもそも、その人物と私はある種特別な関係だったのです。ニートでひきこもりだったその人物を社会復帰させたのが、私だったからです。
私が妊娠後期に入ったある日のことです。私は実家に遊びに行き、そろそろアパートに帰ろうとしていました。ところが、ふと、いつも通り私を見送る母に、こんなことを私は聞いたのです。
「何か私に言いたいことない?」
自分でも何だかわからなかったのですが、なんとなく私は何かを聞く必要がある気がして、母にそう尋ねたのでした。何もないという母におやすみを言い、私はアパートに帰りました。
その瞬間でした。家電が鳴ったのです。電話をとった私はびっくりしてしまいました。職場の同僚からの電話だったのですが、先日仕事をやめたその人が亡くなったという内容でした。
自殺でした。
私は臨月に近い大きなお腹に痛みが走るほど驚いてしまいました。一体その人物に何があったのか。私はその人物を放っておいたことを深く悔やみ、その場で声をあげて泣きました。
第一発見者は亡くなった人物の恋人で、やはり同じ職場の人でした。家族葬が行われ、私は、ずっと故人のことが気になっていました。
ある日どうしても手をあわせたい衝動にかられ私は故人の自宅を訪ねました
そこにいらしたのは故人のお母様で、たった一人になったその家を処分しようとなさっている最中でした。
お線香をあげ、手をあわせ終わると、お母様は故人が亡くなる直前の写真などを私に見せてくれました。短い間とはいえ、社会復帰できたことも良かったとお話しされていました。
ただ、どうしても故人のことが忘れられず、実は家から離れるのがとても辛い、、とのことで、気持ちが沈みっぱなしだと私に心を打ち明けてくださったのです。
私は、瞬間的にお母様を励まさなければと思いました。お母様が元気で笑顔で過ごされることが、何よりの故人へのご供養になると思い、そうお母様に話したのです。故人のお仏壇の前で。
すると、本当に不思議なのですが、私の頭の中全体に響くように声がしたのです。はっきりとこう聞こえたのです。
「そうだよ。」
故人の声かどうかはわからなかったのですが、あまりにもはっきりした言葉だったので、
「今、そうだよって声がしました。」と、伝えました。
お母様はとても驚いていらっしゃいました。
多分なのですが、私は故人に呼ばれたのだと思います。お母様が意気消沈しているのを心配した故人が、私を通してお母様を励ましたかったのだと思います。
その後お母様は家を引き払いました。
私は、ふと故人のことが気になれば、お墓参りに行くようにしています。ですが、毎回ナビなのに迷うのです。そんなときは、「故人に遊ばれてるな」と思いながら運転しています。