お盆の時期が近づくと人の気配がある古民家の不思議な体験談

不思議な体験談

私の体験談なのですが、普段は私が一人で築40年程の古民家で暮らしているのですが、8月の中旬頃になると毎年といっていい程に、家の中に気配があるんです。その気配は人間そのものの気配なんですが、家の中には私一人しか居ないのです。

私が住んでいる田舎には先祖供養の祭事として8月の初旬頃からお仏壇をお祭りする習慣があります

我が家はわずか築40年程の古民家なんですが、私の誕生した時には既に、その習慣は母に受け継がれていました。

私の母親は、当地から離れた西日本の島から嫁いできたんですが、元々母親は、先祖祭祀の文化を継承している地域で育っていた為に、我が家でも率先して先祖祭祀に励んでいたんです。

仏壇の祭り方は、先祖の人数分の席と食事を用意した後に、お盆の期間中にお茶を一時間ごとに取り替えてあげる作業を繰り返すというものです。
この作業を私の母親が担当していたんです。

しかし、数年前に同居をしていた私の祖父が病に伏せた頃から、母親の様子がおかしくなっていくようになりました。

急に家事を怠るようになり、家族から身を離すように食事を一人でとるようになったんです。
母の姿は、まるで何かに取り憑かれているように見えました。

そして時は過ぎて、入院先の祖父が亡くなった後、私の母親は頻繁に家を出て行くようになりました。
あまりに外出が多いので問い詰めると、「病院へ通っている」と言うんです。

本当は、嫁いだ私の姉の家に頻繁に出入りしているのだろうということが分かっていましたが、そっと、しておきました。
そのうちに、母は自宅に戻らなくなりました。
まるで、家出の様な光景ですが、居場所は分かっているので対処はせずにいました。

ところが我が家に母親がいなくなった頃のお盆の時期になると

我が家の中に人の気配がするようになりました。
夕方のころ、庭の扉が勝手に閉まるんです。「きー」という音をたてて。
近くに祖母が居るんだろうと思って探してみても、姿は見えません。

その光景が何度も続くんですが、不気味なのは、その時の空気なんです。
まるで、表現の仕様もない、静かで暗い空間に閉じ込められたような生物の息遣いがない空間とでも言うのでしょうか。

家の中でも、家の中を何らかの者が居る気配は、夕方に起こることが多いのです。
例えば、廊下を誰かが横切る気配がする。床を歩く音がする。といったものです。

思えば、母親が家からいなくなってから、先祖祭祀を怠っていました。
本来は、娘の私が行った方が良いかもしれませんが、若くもない私一人では祭り切れない用事ですから、全く行われていない現状です。

以前ならば、私一人でも、お墓参りもかねてのお墓の掃除をしていたのですが、加齢の為に足が遠のく次第です。
この現象はこの先も続くと思います。