夏の夕暮れ時、自宅から20分かかる中学校から帰る途中に起きた出来事です。
その日はカラッとキレイに晴れて快晴だったことを覚えています。
夕日がキレイで、風も吹いていて、いわゆるおばけや幽霊が出てくるような、薄暗くて生暖かい風が吹いているような状況ではありませんでした。
部活もクラスもマンションも一緒の友だちが
その日は体調不調で休んでいたので、一人でトボトボ歩いていました。
大通りから1本小道に入るとすぐ枝分かれするように道が二またになっている場所で、辻のようになっている場所があるんですが、左手の道を歩いていました。
夕方なので、多少人通りもありました。
私が向かっていく方向からも数人歩いてきて、私とすれ違っていく・・ごく当たり前の光景です。
私は、向こうから近付いてくる自転車に乗った女性と、その前を歩く若い女性に気づいていました。
今とは違ってまだ、ポケベルが出始めた頃。若い女性はポケベルを見ていたと記憶しています。
「チリンチリン」
自転車がベルを鳴らしていました。
若い女性は気付かないのか、ずっとポケベルを見ています。
自転車もどんどん近付いてきて、
「あっ!危ない?!」と思った瞬間、その女性の体を突き抜けるように自転車が進んできたのです。
「嘘でしょ?!」
その頃、私はよく金縛りにあっていたので、すぐ、どっちかが幽体なんだなとわかりました。
それは自転車の方でした。だって、私の体もすり抜けたのだから・・。
いわゆるママチャリに乗った、お母さん。
前の篭に買い物袋が入っていました。
顔がはっきりとしない、少し強ばったような感じだったのです。
きっと事故にあったんだろうなと。
少し前にその小道から大通りに出た所で接触事故があったので、きっとその時の方かもしれない。
そんな気がして、自転車が去った方を直ぐに振り返りましたが、もう姿はありませんでした。
程なくして、若い女性もすれ違いましたが、私を不思議そうに一回見て、またポケベルに目をやっていました。
その後も、その道を通る度にその時の光景が忘れられず思い起こされました。
二つにわかれる道の真ん中に三角の形をした田んぼがあるんですが、夏になるとかえるがうるさく、耳障りな感じがするんですが、その不思議現象が起きた時は、水を打ったように、しーんと静かで不思議な感じがしたのを覚えています。
田んぼを過ぎたあたりで、またいつものように大合唱が始まったので、きっとカエルたちも異様な雰囲気を感じ取っていたのかもしれませんね。