これは数年前の高校生の頃の話。
鹿児島県在住。Kさんの体験談。
いつも一緒にいるメンバーの1人に泊まりに来ないかと誘われた。だがただの楽しいお泊り会ではないようだった。一緒に確認してほしい、だから深夜2時頃までは絶対に起きてて!お願い!といった話をされた。
それだけでなんとなく嫌な事が起こることは予想がついたが友人の家に向かった。実はその友人は家庭の事情で引っ越しをしたばかりだった。だからこの家に遊びに来るのは初めてだった。
最初は怖くて落ち着かなかったが久しぶりに友人と2人で遊ぶのは楽しいので次第に何も気にならなくなった。
確かに少し年季の入ったアパートではあるがそこまで気にならない家ではあった。
そのアパートは3階建てで友人は3階に住む。そして深夜になった。友人はここからは絶対に寝ないでね!一緒に起きてて!と必死に。
それは時刻が深夜2時を少し過ぎた時だった。さっきも言ったが友人の家は3階建ての3階だ。にもかかわらず上から走り回る足音が聞こえてきた。
これはネズミの足音ではない、もうすでにおかしい。
それだけでも鳥肌が立つ。しばらく上から走り回る足音が聞こえていた。友人の表情がこわばりだした。その時はまだ気付いていなかった。
リビングのドアを挟んだ先の廊下に誰もいないはずなのに足音が聞こえてきていた事を。天井の足音に気を取られていたので気付くのが遅れたがはっきりと聞こえた。
それは天井で聞こえた走り回る足音がすぐそこの廊下で聞こえてきたのだ。思わず友人に家族の誰かも呼んでるの?それとも友達?と聞いた。
もちろん誰も呼んでいないと首を横に振りそう言った。
絶えず足音が聞こえてくる。ラップ音も部屋にも聞こえてくる。気が狂いそうだった。だがそれで終わりではなかった。友人がキャー!と声を出した。
そして指を指す方向を見た。なんとリビングのドアのすりガラスに両手を付けてこっちを覗いている子供の姿があった。よくテレビで見る心霊写真はどこにいるのか気付けないことが多かった。
だが今回は違う。はっきりとすりガラスに張り付く子供が見えた。友人は恐る恐る顔を上げ、携帯のカメラですりガラスを写真に撮った。
これを証拠にするのだと言った。またすりガラスに顔を向けるともうそこには子供の姿はなかった。ラップ音と足音はまだ聞こえる。
恐怖で友人と抱き合った。心霊体験をしたことが無かった上にこういう話は得意ではなかったので気を失いそうな体験だった。時刻は4時ごろだったと思う。
ようやく落ち着いてきた。
恐怖で体がこわばっていたのか体中が筋肉痛のような痛みに襲われ気付いたら眠っていた。目が覚めると友人にありがとう、一緒に起きててくれてと言われた。
言葉で話してもわかってもらえないから一緒にいて欲しかったのだと友人は言った。先ほど撮った写真を証拠にその後すぐに別なアパートに引っ越しをし、その後は平和に生活をしていた。
今ではお互いとても貴重な体験だったなと笑いながら話せる。
あの時どうして自分だったのかと聞いたら、あのメンバーで一番騒ぎ立てずに冷静になってくれると思ったからと言われた。あの状況で冷静でいられる人などいないとは思うが…。
だが今回の事で丑三つ時は本当にあのような体験が起こってしまう時間なのだと実証されてしまった。今でもこの時間に目が覚めたり起きていたりすると少し怖いと思ってしまうくらいトラウマにはなっている…。
面白がってそういうスポットに行くのもやめた方がいいと今回の事で身をもって感じたので、遊びに行く子には一言伝えるようにしている。これが自分の初めての恐怖の心霊体験だった。
写真は持っておくものではないとテレビで見たので友人はしばらくして消していたので残ってはいないが、数年たった今でもこの記憶は鮮明に覚えている。