結婚をして、不妊治療もしながらやっと妊娠することができました。ですが、妊娠7ヵ月の時、父が急に病に倒れ、そのまま孫の顔を見ることもないまま亡くなってしまったのです。ですが、出産後に見た夢で父と出会い、無言のメッセージを貰います。
恋愛をして、結婚をして、出産をして
世の中の女性の大半が夢に描くこの順番ですが、そうも上手くはいかないようで、結婚して数年経ってもなかなか子宝に恵まれることはありませんでした。
主人の両親や親戚、自分の親戚から「子供が楽しみだね」と言う言葉が、悪気がないものだったとしても辛くて仕方ありませんでした。
両親にも弱音を吐くこともあり、産婦人科に通い不妊治療を受けることになりました。それから約半年経った頃、やっと妊娠することができたのです。
両親も親戚も、主人の両親も親戚も、皆とても喜んでくれて生まれるのが楽しみで仕方ありませんでしたね。
父は気が早く、まだ生まれてもいない孫のために服をたくさん買ったり、ランドセルまで買おうとしていました
まだ性別も分からないくらいなのに。そんな幸せな日々が続いていくのだろうと思っていたのです。
そんな時、急に父が倒れたと母から連絡がありました。「元気だけが取り柄な父なのに、一体何故?」と思いながらタクシーで病院に言ったのですが、急なことで、そのまま亡くなってしまったのです。急すぎて、何が起こっているのか分からず、何も理解できないまま実家に戻りました。
あんなに初孫を楽しみにしていたのに、そんなに急に逝ってしまうことがあるのか、これは夢ではないのか、明日になればきっと戻ってきているなどそんなことばかり思っていました。
ですが現実は甘くなく、朝になっても、次の日になっても父が戻ってくることは無かったのです
お通夜だったり、お葬式だったり、記憶は全くと言って良い程ありません。何故もっと早く不妊治療をしなかったのか、何故孫を見せてあげることができなかったのか、煙草もお酒ももっと止めてあげれば良かったと後悔ばかりが残りました。
そんな悲しみの中でも、お腹の子供はどんどん成長していき、出産予定日に。痛みに耐えながらやっと出会うことができた娘に涙が止まりませんでした。
長時間の分娩だったのでその後寝てしまったようで、夢を見ました。そう、父の夢です。いくら話しかけても、何も伝わりません。子供が生まれたことも伝えたいのに、そんなことを思っていたところ、父が優しく抱きしめてくれたのです。それで夢は覚めました。
父が抱きしめてくれる時は、昔から私が弱っている時や勇気がない時です。きっと「良いママになりなさい。」と勇気付けに来てくれたのだなと思いました。
この話は、娘が大きくなってから「おじいちゃんはね」と伝えようと思っています。