【感動心霊体験談】最期の挨拶に来てくれた亡くなった上司

感動する心霊体験談

その日は朝から不思議な日でした。
定期的な数ヶ月に一度、A上司が日帰りで地方へ出張に行く日。
朝、自宅から真っ直ぐ地方へ行き、夕方会社に戻る…それが毎度の事でした。
几帳面な性格で、朝会社に寄らずに済むよう、前日から念入りに持ち物を確認していた事をよく覚えています。

私が出勤すると女性職員が『今日、珍しかったの!』と。

何が珍しかったかというと、今まで出張へ行くのに忘れ物をした事がないA上司が、うっかり忘れたそうで早い時間に会社に寄ったらしく。『へぇー珍しいですね』と笑って話していました。

午前中はよく電話が鳴り響き、ほとんどA上司宛。
本日は出張で帰社は夕方ですと先方に伝えると、どの方も戻ったら電話を欲しいとの事。

上司が帰ってくる頃、私は自宅へ帰る時間なので電話の度に、机の上にメモを置いておきました。
そのメモを改めて見ながら、今日はやたらA上司に電話が来るなーと少し違和感を感じ独り言を言っていると、私の隣席の人が、いつもはないメモの多さを『本当だね…』気づいたようでした。

『今日は何故みんな “”A上司、A上司”” なんだろ??(笑)』と、ふざけ半分で言うとそれがキッカケで、今度は事務所に居る皆んなでA上司の楽しい話になりました。
『今頃、クシャミしてるかもよー』なんて事も言っていました。
私はそのクシャミと言う言葉で思い出したのですが先週、A上司がおかしな事を言っていました。

ーやたらA上司がクシャミをしていた日の事。
休憩室に居た私の元にA上司が薬を飲みにやってきました。『花粉症ですか?』と聞くと、どうも風邪をひいてしまったようだとの事。出張もあるし、週末は家族で旅行に行く予定もあったようで、『風邪薬を飲んだら眠くなるんだっけ?』と聞かれ、極力は危ないので車は運転しない方がいいですよと伝えると、突然

『俺、死ぬんだ!(笑)』と。

ものすごくビックリしました!普段、冗談でもそんな事を言った事がない人で、性格も明るく朗らか。
意外な言葉に、私は一瞬固まり『何言ってるんですかー』と何故か焦る始末。返答に困るとはこの事です。

そのおかしな発言があった事を、事務所で皆んなと話し。あの時は珍しいからビックリしたよーなどと笑って話していました。
午後から私は仕事を終え帰宅。
家で遅い昼ご飯を食べ、夕方前に入るドラマの再放送を居間で観ていました。
家の間取りは居間の角にテレビがあり、私は左斜めにテレビを観る位置に座っており、正面には玄関ホールへのドアが。暖かい日だったので、そのドアは開けっぱなしにしていて、その先には2階へ続く階段の折り返しな踊り場までが視界に入ります。

好きなドラマだったので真剣に観ていましたが、私の右側の視界。
丁度、階段の踊り場辺りに何か黒いものがある事に気がつきました。

…A上司のヘアスタイルな人の顔みたい(笑)

無意識にそう感じました。
テレビから目線を外さず、視界の影について考えました。

「何これ?顔みたい…あの前髪の感じ、A上司にすごく似てるな。って、いや!顔な訳ないよね?(驚)
光の影?黒い物?階段に何か置いたっけ?
いやでも、この位置は階段に物を置いているというより……壁に掛けないとこの位置にはならないよ? 」

だんだんドラマに集中出来なくなり、ドキドキしてきました…。怖いというより、分からない焦り。

ちなみに我が家は子供がいるので、一時的でも階段に物は絶対置かないのです。
何度もテレビを見たまま、視界の中のぼんやりしたモノの形を確認しました。

やっぱり、顔っぽい!
それに前髪、メガネかけてる感じ…
やっぱりA上司っぽい!!
でも、顔を丸出しにしている感じではなく、ひょっこり壁側から覗いてジッと見ている感じ。

私、普段からダメなんです。
夜中に暗がりで物音がしたりすると、確認しないと気が済まないタイプ。分からないままって、逆にコワイ!
この時の顔のようなモノも、やっぱりガッチリ見ることを決断しました。
そう決めると、少し汗が出てきて…せーのっ!と思い切って見ると、

…階段には何もありませんでした。いつもの階段の様子です!
ちょっと油汗かきましたね(涙)
ホッとしましたが。

物が置いたり掛けていたとしたら、また同じように戻して見たら視界に映るはず。
それに、勇気を出して顔を階段に向けただけなので、私の座ってる位置からは一歩も動いてません。
試しに何が顔のように見えてしまったのか、またさっきのようにして見ても顔のようなモノはおろか、黒い影も何度やっても全く視界に映らなかったのです。
一体なんだったのだろう…としばらく不思議でしたが、目にゴミが付いてただけと言う事で片付けました。
家に帰ってまで、A上司な1日で不思議だなぁなどと思いながら、ドラマも終わり夕方を迎え晩御飯の支度を始めました。

そんな時、携帯に会社の女の子から着信が。
それもまた珍しいなと思いつつ元気に電話に出ると、何故か無言。
もしかしたら間違ってかけてきたのかなと、何度も『もしもーし!(笑)』と叫ぶも一向に喋らず。
やっと『あ…』と一言発したので、『どうしたの?』と笑って言うと…

A上司が会社に戻る途中、事故に会い病院へ運ばれ、ついさっき息を引き取ったとの事でした。
直後でそれ以上の詳しい話も全く分からない状態でしたが、とりあえず分かっている事だけでも、先に1人帰ってしまった私に連絡をくれたそうです。
すっかり気が動転しましたが、電話を切ってさっきの視界にあった階段の顔。
もしかして、最期の挨拶に来てくれたのかなと思いました。

その後、亡くなった後のもろもろの手続きで、死亡診断書や警察の調書のコピーを見る事に。

事故にあった時刻、亡くなった時刻が書いてありました。ほぼ即死状態ではあったのに、事故から2時間後に逝ってしまったみたいです。
亡くなった時刻は…丁度、私が階段の顔に気付いた時刻。ドラマの終わり頃の時間なので、鮮明に記憶しています。

他、会社の人達はその日皆んなたまたま事務所に居たけど、私だけ会社におらず。
皆んなは会社で見る事が出来たかも知れないけど、そこに居ない私に会いに来てくれたのかな、と今でも思っています。