たくさんのキャストやお客がいる状況であらわれた幽霊の話。霊感があるお客が友人何人かと来店。その人が今までの心霊体験を披露中に、私は黒い影を目撃したので隣に座っていたお客に言うも信じず。しかし、トイレから戻ってきた霊感のある人がさっきそこに霊がきていたと言った。
幽霊は大体一人きりの時や暗く静かなときに現れると思ってませんか?そんな常識をこえた体験をお話しします。
20才の頃、私は大学に通いながら、アルバイトでキャバクラで働いていました。
お酒も好きだったし、大人の男の人の話を聞くのが好きだったので、天職のように思っていました。
その日3人でやって来たのは、はじめてのお客様。
一人の恰幅のいい男性が中心のその団体は奥のL字型のソファの席に通されました。
仕事関係なのか、多少の上下関係が見てとれました。
恰幅のいい男性(以降J氏)がL字のテーブルの短い面の上座に座り、そこから男女男女と交互に座りました。
私はL字の長い部分の一番端に座りました。向かいの丸椅子には同僚の女の子とお客様が座っていました。
J氏はたあいない話をしていましたが、いつからか霊感の話に。今までどんな体験をしたのかを、話も上手でみんな夢中になって聞いていました。
当初J氏はまんべんなくみんなに視線を送りながら話をしていたのですが、次第に私にばかり視線を向けてきました。
身を乗り出して聞いていた私も、なぜか左正面が気になり出し、J氏ばかりを見ていました。
チラッとみると、並べられたボトルの後ろに黒い影が。
あぁ、やっぱり来ちゃってるよ…。
話が終わり、J氏はトイレと席を立ちました。
私は隣に座っていた担当のお客様にさっきそこに幽霊が来てたと伝えました。
すると明らかに一番下っ端に見える彼は、少しイラッとしたように、
「どうして霊感ある奴って、今いたとか言うの? 今いるって言えよ。いる時に教えてもらえなきゃ見えないし信じられないだろ」と吐き捨てました。心霊話にうんざりしてたのかな?
もっともだけれど、こちらにも言い分がある。「あなたはヤクザがいる時にヤクザがいるって声出して言える? 何をされるかわからないのは幽霊も一緒。気づかないふりをしなてやりすごさなきゃ、怖いじゃない」
それでもでもなーと、納得しない様子でした。
しかし彼は次の瞬間凍りつきました。
戻ってきたJ氏が、今そこに男性の霊が来ていたと、私と同じ場所を指したのです。
口裏を合わせる時間もなく、こんな話をしていたとも知らない彼が、
「なんの話してるのか、とのぞきこんでた。通りすがりだから害もないけど。俺も見ないように君ばっか見ちゃったよ」
そう言ったものだから、その場の人間はみんな凍りつきました。
その時店内には何十人も人がいたし、暗めではあるけれども電気もついていました。
そんな状況でも霊は現れるんです。ご注意ください。