家族で寝室で寝ている時、自分だけどうしても寝付けない。そして、家族全員が揃っているのに玄関の鍵が開く音が聞こえる。何者かが部屋に入ってくる気配がして、私は恐怖に怯えてしまう。その気配は徐々に私の方へと近づいていく。
これは私が小学校低学年の頃に実際に体験した話です。季節は夏で毎日蒸し暑い日が続いてました。私はそんな暑い日でも友達と外で鬼ごっこやジャングルジムで遊ぶわんぱくな少年でした。
ある日のことです。
日が暮れ始め友達とも別れ、私は家路へと向かいました。その頃お母さんからは『日が暮れる前に早く帰ってきなさいね。怖い人が出てくるから。』と言っていたので、そのいいつけを守っていました。
当時の私の家はお父さんの会社の社宅で、最上階の4階にある部屋でした。部屋自体が狭く寝室は親子4人川の字になる状態でいつも寝ていました。
その日もいつものように川の字で寝て、私は寝室から一番遠い場所に陣取っていました。
しかし夜中の2時ごろになってもなかなか寝つけません。何故だか落ち着けなくて悶々としていたのですが、他の3人はとっくに寝ていました。
突然、『ガチャリ』と何かが開く音がしました。
何の音だろうと考えていましたが、それが玄関のドアが開く音だと気づき鳥肌が立ちました。家族全員が揃ってるのに誰が鍵を開けられるのでしょうか?
そして、何者かの気配を感じ、その気配が次第に寝室へと近づいてくるのです。イメージでしか思い出せませんが、『黒い影』のようなものが寝室へ入ってきました。
その影は家族一人ずつ身体の上に覆い被さり入れ替わっていきます。そして、とうとう私の上へ覆い被さってきた時に耳元で囁いたのです。
『まだ起きてるの?』
しばらく目を閉じて我慢してましたが、いつの間にか気配は消えていました。あの影は一体何者だったのでしょうか。