今から数年前某百貨店で勤務した時の出来事です。
当時働いていた雑貨屋はお世辞にも待遇の良い会社とは言えず、辞める人もとても多かったです。
人手不足の中私が担う仕事も増えていき、次第にそれが自分の中でかなりのストレスとなり終始疲れ切っていました。
とある勤務中、私が備品の倉庫に行くと見たことのない女の子が私に背を向けるようにしてしゃがみこんでいるのです。今時珍しすぎるくらい綺麗に切り揃えたボブヘアはこの世の色を全て吸収してしまいそうなとても暗い黒色でした。
洋服の形状はしゃがんでいてよくわからなかったのですが白いブラウスのようなものだったと思います。会社のルールで勤務時は白いシャツを着用することが義務付けられていたので、私は従業員の誰かが髪型を変えたのだろうと思いその女の子に話しかけようとしました。しかしその瞬間女の子は目の前から消えてしまいました。私はきっと仕事のストレスで疲れていたのだろうと自分に言い聞かせていました。
それから次第に仕事が忙しくなり私の負担もどんどん増えていき、ある日から生理が止まってしまいました。原因がわからないまま婦人科系の病院から処方される薬を毎日服用しても私の体調はどんどん悪化していき、めまいや腹痛、腰痛に悩まされました。
足が重くなる感覚もあり通勤中がとても辛かったです。ある日ふと、霊感が強い女性スタッフAに、自分が見た倉庫の女の子の話をしました。するとAは「あの黒髪のおかっぱ頭の女の子?」と返してきました。
その時鳥肌が立ったのは今でも忘れません。どうやらAはその子を店内で見かけたと言うのです。さらに私が驚いたのはAが私と同じようにここ最近体調が悪く婦人科系の病院に通っていたことです。
私の行き過ぎた妄想かもしれませんが私と同じようにAが女の子を目撃したことと婦人科系の病院に通っている2つの共通点がなんとなく気掛かりでした。
そんな中お店の売り上げはどんどん落ち続けて、退職するスタッフも増えてきました。人手不足により、私が他店のヘルプに行くこともありました。ある日私が他店Bのヘルプに行った時のことです。私は店舗の掃除をしていました。
何か気配を感じたのでふと真横を見るとそこにはあの女の子がいました。以前見た時より遥かに恐怖を感じました。何故ならばその時私は高さ2メートルほどの脚立に登り天井や高い棚の掃除をしていたのです。その私と同じ高さの宙に女の子は佇んでいました。
今回も女の子は一瞬で消えてしまいましたが、その出で立ちは鮮明に覚えています。身長は150センチないくらいで、前髪も後ろ髪も首根っこくらいの長さで顔は見えませんでした。以前と決定的に違うのは真っ赤な着物のような布を纏っていたことです。その数日後私は体調が悪くトイレに駆け込むと不正出血をしていました。これも私の思い込みかもしれませんがその時の血の色と女の子の衣服の色がとても似ていました。
数週間後他店Bは売上不振により閉店となりました。私の体調も次第に悪化し、会社を退社せざる得なくなりました。これは後で知ったのですが私が勤めていた店舗はスタッフが15人ほど在籍していたのですがそのうち4人が婦人科の病気を患っていました。
私はその子が何か女性に恨みでもあるのだろうか、もしかして本来はこの世に生まれていくべき子であったのだろうか、それとも小さい頃に事故や病気で亡くなってしまったのだろうかなどと頭の中で色んな憶測が飛び交いましたが、その子の幸せを願うのであればあまりそういうことは考えるべきではないと思いました。現在筆者の私の体調は完治はしていませんが少しずつ回復しています。