「車で行き、トンネルの真ん中でエンジンをいったん止めて、ライトも消灯し、再度エンジンをかけると窓に手形が無数についている」という、ある種度胸試しのような話を聞き、この夏、大阪某所にある、心霊スポットとして有名なトンネルを訪れました。
そのトンネルは山奥にあり道幅は狭く一応二車線にはなっているのですが、ほとんど一台の車しか通れないような道でした。
私含めたカップル二組で、運転手は友達の彼(以降Aくん)、助手席に友達(以降Bちゃん)、私たちカップルは後部座席という席順でした。
Bちゃんは、もともと霊感があると言っており、そのほかの三人には今まで全くそういう類の体験はなかったので、その友達さえ何もなければ大丈夫だろうと、その誘いをうけました。
そして当日、Aくんが皆を順に車で家まで迎えに来てくれました。
目的地までは30分ぐらいかかるとのことだったので、4人で楽しく談笑しながら向いました。
しかし到着した途端、Bちゃんが彼Aくんの手をぎゅっと強く握りました。
その時はただ怖がっているだけだと思っていたのですが、進んでいくにつれて定期的に強く手を握り、それを見ていた私と彼はだんだん怖くなってきました。
聞いた話にあった「エンジンを止める」ことなど忘れ、できるだけスピードをあげてもらい、何とかトンネルを抜けた先のコンビニに車をとめました。
心配や好奇心もあり、Bちゃんに「何か見えた?」と聞くと、「白いぼやっとした球が、近づくと車の周りをふわふわまわってた。こわかった。」というのです。
それはBちゃん以外には誰にもみえていませんでした。
確かに怖かったのですが、何はともあれみんな無事にトンネルを抜けれたことで安心し、みんなをその車で家まで送ってもらうことにしました。
いつの間にか寝てしまっていたようで、気づくと私の家の前でAくんが私を起してくれていました。
ほかの二人もいつの間にか寝ていたので、私が二人を起し、「楽しかったけどちょっとBちゃんのはなしは怖かったね」と口にしました。
するとBちゃんは驚いたように私を見つめ、「私はトンネルに着く前に寝ちゃってたよ」と言いました。
私は確かにトンネルの先のコンビニでBちゃんのはなしを聞いています。それはほかの二人も同じで、みんなで何度Bちゃんに確認しても言い分は変わりませんでした。
嘘をつくような子でもなく、確かにみんなBちゃんと話していたのに、なぜ覚えていないのか、今でも不思議に思います。