洒落怖の名作「きさらぎ駅」 異次元に迷い込む不思議な物語

洒落にならない怖い話

洒落怖の代名詞でもある伝説の不思議な話「きさらぎ駅」を紹介。某私鉄に乗車したはずの語り手がリアルタイムで実況する臨場感のあるお話で、誰もが異次元に迷い込む可能性を感じる不思議な洒落怖体験談を猫と犬で語ります。

洒落怖の名作「きさらぎ駅」

気のせいかも知れませんがよろしいですか?

先程から某私鉄に乗車しているのですが、様子がおかしいのです。

いつも通勤に使っている電車なのですが、先程から20分くらい駅に停まりません。
いつもは5分か長くても7、8分で停車するのですが停まりません。
乗客は私のほかに5人いますが皆寝ています。

(特急とか各停とかの違いじゃないの?

ご指摘通りに、乗り間違えた可能性ももあるかもしれませんね。もう少し我慢してみます。
また、おかしいようであれば相談させていただきたいと思います。

(とりあえず一番端っこの車両に行って
車掌を見に行ってみれば?

(もし運転手がてんかんを起こしてたら大変だ。車掌室まで見に行ってこい!

まだ停まる気配がないのでちょっと見てきます。

(路線と乗った駅名をまず書きましょう。

ブラインドというか窓に目隠しがしてあって、車掌さんも運転手さんも見えませんでした。
路線は静岡県の私鉄です。

(コテとトリップつけてくれ

(窓をコンコンしてみたら?

窓を叩いてみたのですが返事はなかったです。

トンネル出てから速度が少し落ちました。普段トンネルなんてないのですが。
新浜松からの電車です。

停まりそうです駅みたいです。

今きさらぎ駅に停車中ですが、降りるべきでしょうか。聞いた事も見たことも無い駅なのですが。

(何時の電車に乗ったの?

(ぜひ降りてみて

降りてしまいました。無人駅です。
乗った電車は11時40分だったと思います。

戻ろうと思い時刻表を探しているのですが見当たりません。
電車はまだ停車していますのでもう一度乗ったほうが無難でしょうか。と書いてるうちにいってしまいました。

駅から出てタクシーでも探してみます。ありがとうございました。

タクシーどころか、何もないところでした。どうしたら

(あの・・ きさらぎ駅って言う駅がないんですが、もう一度
確認していただけますか?駅名

(とりあえず、104にでも電話して駅に近いタクシー会社を聞いてタクシー読んだ方がいいかも。

家に電話して迎えに来てくれるよう頼んだのですがきさらぎ駅の場所が両親にもわからないようです。
地図で調べてから迎えに来てくれることになりましたが、なんか怖いです。

(俺もネットで調べてみたけどきさらぎ駅って言う駅名が
出てこないんだ。新浜松周辺にいることは間違いないんですよね?
ヤフーで調べてみます

公衆電話は探したのですが無いです。他の人は降りませんでしたので、いま私一人です。
駅名はきさらぎで間違いないです。

(ギャルゲーの如月駅も無人駅なん?

(ゲームオタなのか?ググったらゲームがでてきたが。

(今ちょっと調べたら、
鬼って書いて、きさらぎって読めるのね。。。

(きさらぎ駅の前と次の駅名を書いて。書いてないとはいわせない。

ゲームって何のことですか。次の駅も前の駅も書いてないです。

(線路を歩いて帰りましょう

そうですね、パニックになっていて気が付きませんでした。線路に沿って歩きながら両親からの電話を待ちます。
先程アイモードのタウン情報で調べてみたのですがポイントなんとかエラーってなってしまいました。
早く帰りたいです。

(早くタウンページなり何なりしてタクシー呼びなさいな

(まわりはどんなところなんだ?
何もないって言っても、山が見えるとか、畑があるとか、一面草原とか、
海が見えるとか、そういう特徴を教えて。

近くには本当に何も無いです。草原とか山が見えてるだけです。
でも線路を辿っていけば帰れると思いますので頑張ってみます。ありがとうございました。
ネタだと思われてもいいので、また困ったら相談してもいいですか。

父親から電話があり、いろんな問答があってどうしても場所がわからないから110番しなさいと言われたので、
多少抵抗はありますが今から電話して助けて頂く事にします。。

110番して一生懸命現在の状況を説明したのですが、結局いたずらとだろと怒られてしまい、
怖くなって謝ってしまいました。。

遠くの方で太鼓を鳴らすような音とそれに混じって鈴のような音が聞こえているのですが、正直もうどうしたらいいのかわかりません

(とりあえず駅に戻れ
迷ったら最初の現場に帰るのが一番

嘘だと思われるかもしれませんが、怖くて後ろが見れません。駅に戻りたいのですが、振り向けません。

おーい危ないから線路の上歩いちゃ駄目だよって後ろの方で誰か叫んでいたので、駅員さんかと思い振り向いたら
10メートル位先に片足だけのおじいさんが立っていたのですが、消えてしまいました。
もう怖くて動く事ができません。

もう歩けないし、走れないです。太鼓みたいな音が少しだけ近づいてきています。

(はすみはもうこの世の人じゃない
残念だが君の書き込みからは生きた人間の感じがしない
自覚しないと成仏できないよ

私はまだ生きてます。転んだ傷から血も出てるし、折れてしまったヒールもきちんと持っています。まだ死にたくないよ。

家に電話しました。父から警察に電話してくれるそうですが、音がドンドン近づいてきます。

(そうそう、トンネルに入る前にトンネルの名前は確認しておいた方が良いよ
普通のトンネルなら必ず名トンネルの名前が入ってるから。

これで警察に電話しても自分の居場所がわかってもらえるね。

何とか頑張ってトンネルの前まで来ました名前は伊佐貫となっています。
音も近くなっているので勇気をだしてトンネルを抜けてみようと思います。
葉純が無事トンネル出たらまた書き込みます。

トンネルから出ました。先の方に誰か立っています。
助言して頂いた通りにして正解だったようです。ありがとうございました。
涙で顔がグシャグシャなので葉純がお化けに間違われてしまうかもしれませんね。

ご心配かけました。親切な方で近くの駅まで車で送ってくれる事になりました。
そこにはビジネスホテルみたいなものがあるらしいです。皆様本当にありがとうございましたです。

場所を聞いたら比奈だと言うのですが、絶対にありえない事だと思うのですが。

(不思議な話だ
こんな時間に線路から歩いてきた女の子を乗せる香具師が居たのか・・・
何してたんだその人

先程よりどんどん山の方に向かってます。とても車を置いて置く場所があるとは思えないのですが。
全然話てくれなくなってしまいました。

もうバッテリーがピンチです。
様子が変なので隙を見て逃げようと思っています。先程から訳のわからない独り言を呟きはじめました。
いざという時の為に、一応これで最後の書き込みにします。

洒落怖の名作「きさらぎ駅に行った話」

普段オカルトとかあまり興味ないんだけど、似たようなので有名な話があるみたいだから、書いてみる。
高校生の時の体験談。
『きさらぎ駅』に行った話。

別の市にある友達の家に行った、帰りの電車だった。
それまでバスと自家用車が主な交通手段で、ほぼ電車は初めてだった。
でも、行きの電車がきちんと乗れた(乗り換えとかは無い)から、帰りは多少安心してた。
電車の中ではガラケーいじってた。

トンネルを抜けて、海沿いの道を進んでたんだけど、気付くとまわりが薄暗い。
まだ夏の5時過ぎだったから、こんなに早く暗くなるか?と思いながら、車窓を覗くと、景色が薄暗かった。
風景に黒いセロファンをかぶせたみたいな感じ。
周りを見回すと、電車内には私以外に7人の人がいたんだけど、みんな顔を伏せて寝てた。
みんな同じポーズで、電車のわずかな振動に合わせて頭が揺れてる。
ちょっと怖くなってたら、親からメールがきた。
『いまどのへん?◯◯(最寄り駅)には6時までに着きそう?』
親に6時に駅に迎えに来てってお願いしてたから、その確認メールだった。
とりあえず周りの人が変なのを伝えようと返信。
『5時50分に着くように電車乗ったよ。
 でも周りの人がなんか変。みんな同じ格好で寝よる。あと、景色が見たことない暗さしとる』

親からは、
『きちんと降りんさんいよ。
 周りが変ってどういうこと?みんな疲れとるんじゃない?あと、まだこっちは暗くないよ。あんた寝よるん?(笑)』
的なメールがきた。寝てるのにメールが書けるか。
そのメールになんて返信したら状態が伝わるか考えてたら、電車がゆっくり、大きく揺れて停まった。
駅についたみたいで、アナウンスは無かったけど、ドアがプシューって音をたてて開いた。
周りの人は相変わらずで、気味悪くて車窓からもう一度外をみた。
奥にふっるい木造の駅舎があって、その手前に看板があった。
駅名が『きさらぎ』駅と書いてあった。
聞いたことない駅だと思って、首をかしげたんだけど次の瞬間、ゾッとした。
『きさらぎ』駅の次の駅名が『ねのくに』駅だった。

私、島根県民。現場も島根県。
小さい頃から絵本やら神楽やらで神話は割りと慣れ親しんだものだった。
それで『ねのくに』→『根国』じゃないかと思った。
島根県の教育よありがとう。
根国っていうのは『行き来は出来るけれどこの世ではない異界』のこと。
根之固洲國とか、底根國ともいうみたいね。

とにかく、生きてる人間が来るとしたら良くない駅だっていうのだけはわかった。
雰囲気も素敵だとは言い難い。
どうしよう。降りるべき?親に相談する?電話とか?って思ってたんだけど、
どこか冷静で、電車で電話したら駄目だとか思ってるうちに、ドアが閉じて電車が出発してしまった。
ちなみに、きさらぎ駅の前の駅は『たそがれ』駅だった。黄昏駅なのかな。
つまり駅は『たそがれ→きさらぎ→ねのくに』の順番ね。

どうにかしないとと思いながら、とにかく親に説明のメールを打ってた。
そしたら、子供の声がした。
びっくりして声の方をみたら、電車に乗ってた親子連れの子供が親御さんに話しかけてた。っていうか、起きてた。
「え?」ってなって、周りを見回したら、寝てたはずの人達7人全員起きてた。
車窓からの景色も、薄暗さが消えてた。
混乱してる私を他所に、それから5分もしないうちに最寄り駅についた。
親が怒ってたので理由を聞いたら、時計を見せられた。6時20分くらいになってた。
迎えは6時の約束だったから、だいぶオーバーしててそれで親は怒ってた。
理由を言おうかと考えたんだけど、
意味不明に聞こえそうなことを言っても火に油を注ぐだけだと思って、遅れてごめんなさいと謝った。
それで親に家まで連れて帰って貰って、体験自体は終わり。

納得いかなくて、あとから同じ電車に乗ったんだけど、きさらぎ駅もたそがれ駅もねのくに駅も無かった。
ちょっと調べてみても、島根にそれっぽい駅はない。
私が電車で寝てたのかもとも思ったけど、親とやり取りしたメールは残ってた。
ただ、メールはガラケーからスマホに代えるとき気味悪くて消去した。
勿体無いことをしたのかもしれない。

こんな感じの話。
長くなって申し訳ない。
信じるかはみなさんに任せる。
ただ、私はあの時、きさらぎ駅で降りなくて良かったのだと思いたい。