洒落怖の名作「固芥さん(コッケさん)」 怖いオチがあるゾッとする恐怖の話
洒落怖の名作「固芥さん(コッケさん)」を紹介。とある田舎にある風習のは話で固芥さんのタイトルに秘密がある掲示板の洒落にならない怖い話でも騒然とした名作です。強烈なオチもある不思議で怖い洒落怖を猫が語ります。
洒落怖の名作「固芥さん(コッケさん)」

コケシの話が怖いみたいですね。
あんまり自分の出た地域のことは言いたくないんですけど…

コケシのような呼び方をすると大人にそうとうおこられました。
中学生に上がりたての頃、
半端なエロ本知識で「電動こけし」という単語を知った
クラスの友達が、コケシコケシと連呼してるのを、
指副担に見つかり、バカスカ殴られてました。

なんていう役職はほかの地域にないんですよね。

別に何の教科を担当してたわけでもないです。
野球部のコーチみたいな感じで、毎日学校には出てくるのですが、
だいたい用務員室で茶飲んで定時前には帰るような感じでした。

指揮をとってました。

伝統的にやらされてたのですが、
これは、指副担の先生の独壇場でした。
列が乱れたり、ポールから引いたリボンがたるんだりすると
怒るような。組体操よりぜんぜんこっちが大事でした。


あらましは聞かされるのですが、それもまぁ、
コッケさんという地神さんは伝統だから、
行事は守らないといけない、みたいな感じの話で
要領を得ません。
地域に大きな寺社や宗教施設がないし、
中学高校にもなると、さすがに、
いろいろヘンなうわさが立ってました。

・高校出て町に出るときは井戸に後ろ髪を納めさせられる

奴が多かったです。単なるヤンキーだったのかもしれない
ですけど。今は帰らないのでどうかわかりません。
今、同郷の女の子が近くのマンションに住んでて、
そのこの叔父さんが指副担やってたんですけど、
このスレで、コケシの話題が出てたので、
なんか関係ありそうだったので、聞いてみました。


村が、外部との交通が遮断されたままひと冬放置された
ことがあったそうです。

知恵の遅れた七歳の子供が、村の地区
(どの地区かは教えてくれませんでした)
の備蓄の穀物を水に戻して食べてしまったそうなのでした。

(本当かどうかはわかりませんが、
水車小屋のような場所があったので
すぐそういう、性的な噂が立てられた)

迷信がまだ残っていました。

子供を殺して村に詫びようとしたそうです。


そこから首を吊るすようにして絶命している水番がいました。
あまりの酷さに世話役たちが顔を背けていると、
くだんの息子が、傍らから、世話役の袖を引いて、


この子はもはや正気ではないとはわかっていました。

これは、水番の相反する気持ちが、
子の魂は滅ぼしても子の肉体は母のために
生かしておいてやりたい、という願いになり、
親子の魂が入れ替わったのだ、というのが支配的でした。

このとき、村で初めて、
この子供を「殺そう」という結論が出たのだそうです。

布に少しずつ水を吸わせて、誰も手をかけないうちに
殺そうということになりました。
しかしそこは、素人考えですので、
首は絞まってもなかなか絶命しません。
子供は父と同じ顔で「誰じゃ、食ったのは誰じゃ」
と声を上げていました。

井戸に竹を渡してそこから子供を吊るしました。

まぶたの上から縦に竹串を通しました。


多くの人が命を失いました。

世話役の十三になる子供だったことがわかったのだそうです。
このとき、世話役は躊躇なく、
わが子を同じ方法で吊るしたのだそうです。


「はー、なるほど。命日なわけな」
うちで飯を食べてもらいながら、彼女(指副担の姪っこ)に、教えてもらいました。
「だから固芥忌(コケキ)っていうのが正しいんですよ。」

「…村人全員で子供をシめる儀礼ですからね。本来こういう形でやさしく弔ってあげたのに、という。偽善ですよね」
「うん」

彼女は、ペンを取って、チラシの裏に、「芥」の字を書きました。
「おお、28やん。オレも今気づいた」
くさかんむりと、その下の八の字で、二十八と読めます。

彼女はきょとんとしていました。
「いやだから、にじゅうとはちで、その命日を表してるんでしょ?」
「…ほんとだぁ」
「え、違うの?」
「いや、そっちが正しいんですよねたぶん」
「何よ、教えてよ」
「いや、いいです」
しばらく押し問答した末、彼女は折れて、文字を書き足しました。
「これね、縦書きなんですよ」

芥

竹の枠に首から下がってるの、わかるでしょ?」
