霊感のある兄貴とのドライブで起こったゾッとした怖い話

恐怖の心霊体験談

5歳年上の兄貴は昔から霊感があるらしく、日常的に心霊体験をしていたらしい。私は霊感は無く周りは当時は中学生だったこともあり、周りはなんちゃって霊能力者も多くてそういう話を信じられずにいた。

当時免許取り立ての兄貴はよくドライブに出掛けたが、時々心霊体験をしては顔を真っ青にして帰って来ることもあったし、酷い時には地震の予知夢を見ることもあった。

………けど、それでも私はオカルト的なものは信じてはいなかった。

頑なにオカルトを信じない私が唯一ゾッとしたのが、夏休みのある日。その兄と隣町へ買い物がてらドライブに行くことにした。隣町へは少し長いトンネルを通る。

隣町へ行く途中も兄貴は最近あった心霊体験の話をして私を怖がらせようとしていた。私は相変わらず話半分でそれを聞いていた。

とりあえず行きは何事も無く、隣町で用事を済ませた。
帰り道、また兄貴は私と話をしながら車を走らせていた。しかし、もうすぐトンネルの入口になるところで、突然兄貴が黙り、急に道を変えた。

その道はトンネルの掘ってある山をぐるっと周り、出口付近へと通じている。若干細い山道ではあるが、舗装されていてドライブコースとしてもそこそこ人気がある。ドライブ好きの兄貴のこと、遠回りをして帰るつもりなのだろう。

そう思い、兄貴の方に話し掛けると、顔を真っ青にして「今、頼むから話し掛けんな…」と言われた。

さらに流していたCDも切り、車内が静かになった。いつもは飄々としている兄貴が何とも言えない引きつった表情をしていたので、私もそれ以上話し掛けることが出来なかった。

山道を下り、トンネルの出口付近に出ると、兄貴は急にスピードを出してそこから離れた。

赤信号で止まると、ようやく兄貴が喋った。「……いやぁ、やばかった……。」
その後、何事も無かったかのように再びCDを流し、適当な話を振ってきた。私はいったい何なのかよくわからないまま兄貴に話を合わせ、しばらくしてようやく家に着いた。
夜、帰ってきた母に「今日は兄貴と隣町へ行ったよ 」と話した。すると、母が「帰る途中にトンネルは通った?」と聞いてきた。少し驚いた私はトンネル手前で兄貴が迂回したことを話すと、母も驚いた顔をして「その時間帯、トンネル内で事故があったんだよ。」と言った。

私と母の会話を後ろでゲームをしながら聞いていた兄貴がやる気のない声で「あー、あれね。やっぱりか。 」と言った。
「トンネル入ろうと思ったら、トンネルの外に何人も白い人が立っていて、トンネルの中を覗いていたんだ。気付かれたらヤバい気がして、山の方通ったよ。」

それ以来しばらくの間、そのトンネルを通るのが怖くて隣町へ出掛けられなかった。