【恐怖体験談】深夜のドライブで出会った赤ちゃんを抱く女性

恐怖の心霊体験談

20年ほど前、友達達との深夜のドライブ中に暗い田舎道で乗せてあげた赤ちゃんを抱いていた女性の話です。私達が赤ちゃんだと思ったものはいったいなんだったのでしょうか。未だにあの体験のことは、友達の間ではタブーになっています。

今から20数年前に私が大学生だったときの事です

大学も夏休みに入り、それぞれ地方の大学に進学してばらばらになっていた友人達がみんな帰省していました。

進学で地元をはなれ、みんな寂しい思いをしていたのでしょう。これといった用事もないのに、毎晩のように同級生たちが集まっては、ただ時間を無駄につぶしていました。

今とはちがい、カラオケとか若者が集えるしゃれたバーなどもない時代です。卒業後も地元に残り、就職した友人の車でドライブを楽しむことだけが唯一私達の楽しみでした。

深夜の海を見にいったり近場の峠の頂上で

日の出を見たり、とにかく知らない道をラジオの音楽を聴きながら、ただ目的もなくドライブをだけ楽しんでいる毎日でした。

その日も、車をもっている友人に誘われ、私とあと二人の友達、合計4人で行くあてのないドライブを楽しんでいました。深夜1時を過ぎた頃だったでしょうか。街灯もまばらな田舎の田んぼ道。

私達は、胸に抱いた赤ちゃんをあやしながらこちらに向かって歩いてくる一人の女性が、ヘッドライトの明かりに照らされるのを見たのです。その女性は車の明かりから赤ちゃんをかばうように身をひねり、顔も向こう側にそむけました。

白っぽい服を着て、ロングヘアだということは見て取れました。その時車に乗っていた全員が、赤ちゃんが泣き止まなくて、ご主人かお姑さんに文句を言われ、行くあてもなく深夜の道を徘徊している可哀相な女性だと思ったのです。運転していた友人も、不憫に思ったのでしょう。

その女性の前で車ととめて

同乗するよう勧めたのです。その人は軽く一礼して車に乗りこんで来ました。運転席の後ろ側に乗っていた私は、両手が塞がっている彼女のためにドアを空けてやり、席をつめてあげました。

運転していた友人は、彼女に行き先を聞きましたが、彼女は一言、まっすぐ言ってください、と言いました。とりあえず車を発進させ、少し走ったときだったと思います。

私は突然背筋が凍りつく思いに囚われました。さっきは確かに彼女の胸にだかれいたはずの赤ちゃんが、いつのまにか白い布につつまれた四角い箱に変わっているのです。それはどう見ても骨壷でした。同乗していた友人全員がそのことに気づいたのだと思います。

誰もが彼女を見ることもできず

話をすることもできませんでした。ただひたすら彼女と彼女が抱いた骨壷を見ないように、早くこの時間が過ぎることだけを願ったように思います。

どのくらいの時間がたったのか、はっきり覚えていません。やがて彼女は小さな声で、止めてください。と言いました。やはり何もない田んぼ道です。運転していた友人は、車を急停車させ、彼女は骨壷を抱いたまま、片手でドアを開けて出て行きました。

誰もが無言でしたが、車が発進したあと、私は恐る恐る振り返ってみました。そこには、やはり車の明かりからしろいおくるみに包まれた赤ちゃんをかばうように上体をひねる彼女がいました。

そのあとは、全員何も話すこともできず

ハイスピードで地元の町に戻りました。

今でも、たまに帰省すると、その時のドライブのメンバーにあうこともあります。でも誰もがその時の話をするのを避けています。

私達が深夜の田んぼ道で出会った、赤ちゃんを抱く女性はいったい誰だったのでしょうか。幼いわが子を亡くした女性が無念のあまり、この世をさまよっているのでしょうか。このときのことを思い出すだびに、おそらくは不幸な目にあってしまった彼女が不憫に思えてなりません。