夜勤中におきた老人ホームの閉鎖フロアでの恐怖体験談

恐怖の心霊体験談

私が以前務めていた老人ホームでは、介護士が少ないため配置基準法の関係上3階建ての施設ではありましたが1、2階のみが稼働していました。

3階も1、2階と同じつくりで、3ユニット計30部屋がありました。

しかし閉鎖してからというものすっかり物置と化しており、廊下や居室の電球なども取り払っていたため昼に行っても薄暗い不気味な雰囲気を醸し出していました。

入居者が立ち入ることはまずないのですが、今時珍しくエレベーターにナンバーロック等のセキュリティがないため、認知症患者が徘徊して行ってしまわないよう数時間に1回巡視をする言われていました。(居室に入居者がいることを確認すれば行く必要などなく、私を含め夜勤介護士はみんなその作業は省いていましたが…)

何事もなくただ夜勤業務をして終わる日もありましたが2階の夜勤を担当していると時々3階の気味悪い出来事に遭遇することがありました。

3階は電球も取り払い真っ暗、ベッド等の備品は残されていますが当然ナースコールのコードなどは繋がっておらず束にしてまとめてありました。
ところが、吹き抜けの中庭側の窓からチラッと3階を見上げるとうっすら明るい時があるのです。

「あぁ、嫌なことに気づいてしまった」と後悔しつつ、1階の夜勤者に言伝して懐中電灯片手に3階に見回りに行きます。
廊下やリビング、居室の電球は先述の通り取り外されていたのですが唯一センサーで反応して点灯・消灯する各部屋のトイレだけは電球がついたままなのです。

もしかしたら認知症の入居者が知らぬ間に行ってしまってる可能性もあります。

内心そんなわけないだろと悪態をつきながら向かうも、やはりそこには人っ子一人いません。ただいつも同じ部屋、真ん中のユニットの端から2番目の部屋のトイレの点灯センサーだけが反応するのです。

電気のセンサーだけではありません。また違う部屋ではコードすら繋いでいないはずのナースコールが鳴るのです。

私達介護士はセンサーやナースコールに対応するために各階ごとのPHSを持つのですが、1階のものも2階のものも鳴っていないとき、遠くからプルルルルという音が聞こえることがありました。

そんなときは大体3階のナースステーションで音が鳴ってます。ナースコールは電話を取らないとどんどん音が大きくなる仕様だったので嫌々ながら3階へ向かい真っ暗なナースステーションに鳴り響くコールを切りに受話器を取らなければならず、これもまたその日の夜勤を憂鬱なものにしました。

老人ホームではお年寄りが亡くなるなんてそう珍しいことではないですし、認知症の症状として「兵隊さんがいる」なんて言い出すお年寄りは山ほどいます。
霊的なものや他人の死への耐性は嫌でもつくのですが、転職しそんな現象の起きない職場で働いていると感覚が麻痺していたのだなとゾッとしますね。