私は一人っ子なのですが、実は母が二回中絶手術をしていました。私が生まれる前と生まれた後の出来事なのですが、父と母だけが知る事実を高校生の私がある夜、その事実を突然知ることになった恐怖で不思議な出来事です。
私は一人っ子で育ちました
父から溺愛されていたのでとても幸せな生活だったのですが、大人ばかりの中に一人だけ子供がいるので、同じような感覚で遊ぶことができないため、一人で遊ぶことが多くてつまらなさも感じていました。
そのため、特に幼いころには兄弟が欲しくて「お兄ちゃん」や「お姉ちゃん」がいる友達がすごく羨ましかったのです。
母に「どうして兄弟を作らなかったの?私は欲しいのに」とお願いしたこともあるのですが、「頑張ってみたけれど無理だったのよ」と言われてしまいました。
「もっと諦めないで頑張ればよかったのに」と子供の頃の私は思っていました。
そんな私が18歳になった時にある出来事が起こったのです。
その日は、家族で遠方のデパートに行き私は欲しかったブランド物の洋服やバッグなどを買ってもらい満足感でいっぱいでした。
高校を卒業する記念に父が買ってくれたのです。
もともと、そんな贅沢ができるほどの裕福な家庭ではなかったのですが、父がお祝いとして少し無理をしてくれたのかもしれません。
買い物の後、珍しくデパート内のレストランで食事することになりました。
我が家としてはかなり贅沢な「高級牛肉のハンバーグランチ」を食べることにしたのです。
食べたことのない美味しい味に感動しました
父と母は早めに床に入り私は一階でテレビを見ていたところ、父と母が寝ている二階から「どーん」と大きな物音がしたのです。
「どうしたんだろう」と思い二階に上がっていくと、そこには震える母がいました。
「これ見て?」と指をさした先に見たものは畳の上に広がった緑色の液体のようなものでした。
母曰く、寝ていたら「どうして○○(私の名前)だけが幸せなんだ。許せん」という坊さんが夢に出てきたそうです。
その時、二人の小さな男の子が二人坊さんに連れられていたのだそうです。坊さんが叫んだあと、天井から緑の液体がぼとぼとと落ちてきたのだそうです。
隣で寝ていた父も起き上がり「変な夢だろう」と言い、また寝てしまったのですが、私と母は怖くなり一階に布団を敷いて一緒に寝ることにしました。
怖くて電気をつけたままにしていたのですが、朝方4時ごろどうしても眠くなってきて電気を消してうとうとしていたところ、私が突然何者かに首を絞められたのです。
驚きと恐怖で固まってしまいながらも「助けて」と叫ぶとその手はどこかに行ってしまいました。
翌日、朝から父と母が私に話してくれたのは「あなたが生まれる前と生まれた後に中絶した経験があるの。その時に何もしてあげていないから怒っているのかもしれない。だから二人でお祓いに行ってくるね」と言いました。
生まれてこなかったものの自分には兄弟がいたかもしれないという事実にも驚きましたが、なぜ、18年たった今、彼らは私たちの前に出てきたのでしょう。
その日の「幸せそうな家族の姿」が許せなかったのかもしれません。