母親に最後のメッセージを届けたかった叔父さんの感動する話

感動する心霊体験談

若くして亡くなった、私の叔父さんについての心霊体験です。
この話は、叔父さんの母親である、私のおばあちゃんから聞いたエピソードです。
叔父さんは若いころから体力があり、縄跳びも三重跳びができて、逆立ち歩きも得意なスポーツマンだったそうです。

ですから、私のおばあちゃんも、叔父さんの兄である私の父も、叔父さんはきっと元気で長生きするだろうと思っていました。

叔父さんは会社員としてまじめに働き、外国語が堪能で海外に単身赴任したり、頻繁に出張に行ったりしていました。

おばあちゃんも父も、そんな叔父さんを誇りに思っていました。
仕事で忙しかった叔父さんは、なかなか実家に帰るチャンスがなく、たまに帰ってきても、みんなへのお土産を置いて海外であった面白い出来事を話しただけで、すぐにまた仕事に戻って行くという具合だったそうです。

私も叔父さんと少し話したことはありますが、小さかったので大人の男性に対して人見知りをしてしまったこともあり、あまり深い話をすることはできませんでした。

叔父さんはずっと独身でしたが、一人の生活を楽しんでおり、仕事も好きなことをできているので楽しいと言っていたそうです。

でも、いい人だったのでちょっと無理をしすぎてしまったのか、あるころから体調を崩してしまっていたようでした。
そんな叔父さんの異変に誰も気がつきませんでしたが、ある日おばあちゃんがこんな体験をしました。

自宅の庭にいたら、目の前に一匹の蝶がひらひら飛んできた。その蝶は今までに見たことがないような柄をしていて、顔の前からなかなか離れてくれない。

おばあちゃんは虫が苦手なタイプだったので、まとわりついてくるような蝶に対して、追い払うようなしぐさをしたそうです。
でも、その蝶はしつこくおばあちゃんにつきまとい、おばあちゃんは何とか家の中に逃げ込みました。

そのとき、おばあちゃんは蝶の特殊な柄が何か心に引っ掛かるような感じがしたそうです。

「そういえば、息子(叔父さん)が着ていた服の柄にそっくりだった。」
そう思い出した瞬間、家の電話が鳴りました。
叔父さんと親しくしていた近所の方からの連絡で、叔父さんが仕事先で亡くなったという知らせでした。
疲れのせいか心臓をやられて、倒れたまま搬送先の病院で息を引き取ったということです。

まだ40代でした。

息子に先立たれたおばあちゃんは呆然としてしまい、お葬式の日にようやく、叔父さんが蝶になって自分のところにやってきたということに気がついたそうです。
叔父さんはどんな形であれ、最後に自分の母親に会いたかったのでしょう。