20代の時友人と109に遊びに行った時、私だけに見えた女性の話です。
あの時本当に他の人には見えていなかったのか?あの女性の怖い顔は、私に何を伝えたかったのか…。今だに思い出すと不思議な気持ちでいっぱいです。あの体験は一生忘れられない体験です。
学生の時に学校の帰り友人と3人で渋谷の109に遊びに行きました
その日は土砂降りで、雨宿りがてらかいつもより混雑していました。
皆楽しそうにショッピングしています。
私達もとりあえず上から下へお店を見て回ろうと、話しながら当てもなくお店を見ていました。
エスカレーターから下りてきて、一階に着いた時です。
3人で横並びで歩いていたのですが、入り口付近に気になる女性が居ます。
傘を忘れてしまったのか、上から下までとりかくびしょ濡れです。
寒いにも関わらず薄手のワンピースを着て、手には大きなトランクケースを持って立ちつくしています。
あまりにびしょ濡れになった事がショックだったのか、一歩も動きません。
失礼な話…、うわっ!やばい感じの人だわこりゃ!とそう思いました。
周りの人も誰も彼女を見ない様、通り過ぎています。
大丈夫ですか?なんて声をかけたらすごい目で睨まれそうですし
何かされそうです。
とても話しかけられる雰囲気ではなかったのです。
そんなやばい女性だから、気が付いていても友人達も口にしないんだろうなと、少し離れたお店に入った時、2人に小声で言いました。
さっきのびしょ濡れの人の目やばくなかった?
何か失恋でもしたのかもね、あんなびしょ濡れじゃ店に入っても絶対迷惑がられちゃうね。
すると2人は、はっ?何の事?そんな人何処に居たの?と笑っています。
あんな目立っていたじゃん!2人共真横を通り過ぎたじゃん!
あの寒そうなワンピースの人だってば!まだいるかも!
急いで戻りましたがもう姿はありませんでした。
あんなに滴っていたのに、床には水たまりもありません。
2分前まではここに居たの!と何回も特徴を説明しましたが
友人達は笑って相手にしてくれません。
びしょ濡れの彼女を見たのは私だけなの…?
あの時彼女は立ちつくしたまま、滴たる雨、大きなトランクケース、そして一点を見つめていたのです。
しかし1回だけこちらを向き、ギロっと私を見て目を離さなかった…。
わっ、何か文句言われそうと、その時すぐに目を反らしてしまいましたが、もしあの女性が霊だったとしたら…。
どうしてあんたに私が見えるの?と言いたかったと思います。
私がもしあの時、大丈夫ですか?と声をかけていたら、何か私に伝えたい事があったのかもしれません。
あのトランクケースは、旅行に行く所だったのかな…。
帰宅してからもずっとその事を考え、頭から離れなくなってしまいました。
あまりの鮮明さに、あの女性の顔、姿をノートに書いてみたのです。
この話をしていた母に、この絵を見せたところ、笑顔が消えました。
これ何か見て書いたの?
絵心は元から割とある方ですが、確かにその絵はかなり上手く描けたと思います。
母はぼそっと、これ親戚の叔母さんに良く似ているよ。
ワンピースもトランクケースも見た事があるかもしれないと、まさかの答えでした。
その叔母さんは事故で亡くなったらしく、原因は水死でした。
旅行に行く途中だったらしく、その瞬間ゾクゾクっとして涙が出てきました。
怖いという気持ちよりかは、何故私の前に現れたの?
私に何を伝えたかったの?それがわからなかったのが悔しかったのです。
その後すぐ私は体調を崩し、友人達と計画していた旅行も、私の体調不良のせいで延期になりました。
それから暫くしてわかったのです。
もし私が予定通り旅行へ行っていたら、私は亡くなっていたかもしれません。
あの阪神大震災の日だったのです。
もしかしたら、あの時叔母さんが私に伝えたかったのは、私の危機を伝え防いでくれたのかもしれません。
きっとそうなんだと感じます。
一生に一回の霊体験でしたが、今わたしがここに居られる事は、あの体験のおかげかもしれないと、感謝すると共に、今だに昨日の事の様に思い出す不思議な体験です。