ガールフレンドのお母さんが体験したお寺での不思議な実話体験談

不思議な体験談

私のガールフレンドの母親は、実家がお寺です。小さい頃から、不思議な出来事と出逢っていて、よくそのことを彼女に話してくれるのだそうです。これは何年か前に、彼女から聞いた話ですが、どうしても忘れられないのでお話します。

彼女のお母さんは、和子さんと言います。

小さい頃から利発で、年の割にはしっかりしていたそうです。ただ、見えるんですね。この世のものではないものが。ただし、見えるのはお寺の中だけで、外に出てしまえばふつうの人なのです。小学校の低学年の頃、和子さんはお寺で見た不思議なことを、ついお友達に話してしまいました。お父さんからは、

「お寺で見た不思議なことは、絶対外で喋っちゃいかんよ」

と言われていたのに、まだ幼くて理由がよく分からなかったのでしょうね。
お友達はとても気味悪がって、和子さんを仲間外れにしました。そのお友達のお姉さんからも、「嘘をついては駄目よ」

と叱られてしまいました。なので、和子さんは学校では二度とその手の話はしなかったそうです。

和子さんはお父さんに、
「ねぇ、どうして家は変なものが見えるの?」
と訊きました。するとお父さんは、
「お寺だからね」
と笑っているだけだったそうです。

不思議なものが見えたり、聴こえたりはしますが

悪さをしてくるわけではないので、和子さんもなんとなく、それで済ませるようになったようです。
さて、 よく晴れた春のある日、和子さんは猫を追いかけて本堂に入りました。その時、天井を見てびっくりしました。
小僧さんたちが4名、天井から逆さになって、読経しながら歩いているのです。それも、かごめかごめのように円を描いて。声は聴こえなかったが、合掌し半眼になって口を動かしていたので、読経だと分かったそうです。。

和子さんは、静かにあとじさりして本堂を出ました。しばらくしてから戻ってみたら、小僧さんたちはもう消えていました。
その日は特に法事もなく、何もない一日だったそうで、なぜあんなものが出たのか、理由は分かりませんでした。

数日後、和子さんが学校から戻ると、品の好いお婆さんがやってきました。
「住職はおいでかの」
「父は今出ておりますが」
「そうか、わしは下の村に済む徳田のウメだがの、もうすぐ行くのでお知らせにきたのじゃ」

そう言うと、お婆さんはにこやかに帰って行かれました。でも和子さんはその時、(生霊だ)と感じたそうです。案の定、戻った父に報告すると、「ああ、ウメさんな。今朝早く逝ったそうだよ。そうか、挨拶にきたか。律儀じゃのお」

そう言って、通夜に行くための支度を始めたそうです。
小僧さんとウメさんには、何か因縁があったのか、和子さんはそんなことも考えてみましたが、そう思わせるものは特になかったそうです。