突然他界した義理の父。いつもどんな時でも穏やかで優しい笑顔で、当時姑と折り合いがつかず悩んでいたのをいつも気遣い声をかけて支えてくれていた義父が亡くなった夜に不思議なことがありました。30年が過ぎた今でも忘れることができません。
まだ私が20代の頃お付き合いしていた人と結婚し、幸せな結婚生活を夢見ていたのですが、現実はとても厳しく。
当時同居していた義母と折り合いをうまくつけられず、毎日のように激しく叱責を受けるあまり自信をなくし、
頼りの夫はいつも現実から目を逸らし、逃げるばかりで半分鬱のようになっていた頃。
事情があり、義母と別居していた義父が聞きつけて戻ってきて、義母の目を私から逸らすようにそっと気遣ってくださり、
平穏な日々が戻りつつあった矢先に、義父が急性心不全で突然他界してしまいました。
あまりにも突然過ぎて悲しいのに涙を流す間もなく、通夜の準備に終われ、友人知人の対応に追われ、やっと落ち着いたのは深夜。
「少し横になって休みなさい」と言われ、布団に入ってテレビをつけてボーッとしているうちにうたた寝していたようです。
気がつくと、テレビの放送も全て終了し、ザーザーと砂嵐になっています。起き上がり消そうと思うけど、身体が重くて動かせません。
ぼんやりする中で、水色のパジャマを着た人の足元が見えたので、夫か誰かが様子を見に来てくれたんだと思いました。
ところが水色のパジャマの人は布団の周りをゆっくりと歩き回るばかりで、つけっぱなしでザーザーと音を出しているテレビには近づこうともしません。
「なんで、消してくれないんだろう。電気も消していて真っ暗な中、テレビがついているのがわからないはずはないのに‥」と思い声をかけようとする気持ちはあるのに、身体がだるくて重く、声も出せません。
そうこうしているうちに、何度か布団の周りを行ったり来たりしていたその人は部屋から出て行ってしまい。
消してもらうのを諦めた私も、深い眠りについてしまいました。
翌朝、起きてから夫に誰かが来てくれたけど・・と事の顛末を話すと、誰も私が寝ていた部屋には行ってないと言います。
それを聞いた義母は、義父が亡くなった時に着ていたパジャマを見せてくれて、驚きました。
みんなから寝ぼけたんじゃないかと言われましたが、意識はしっかりしてたし、畳の上を歩く足音まで聞こえていました。
何より義父が亡くなった時、水色のパジャマを着ていたことは知りませんでした。
きっと心配して見に来てくれたと同時にお別れの気持ちもあったんじゃないかと、今でもそう信じています。
残念ながら結婚生活を続けることはできませんでしたが、義父のことは生涯忘れることはないでしょう。