はぐれた私を出口まで導いてくれた冷たく優しい手の守護霊

不思議な体験談

お化け屋敷で、私の手をはなし弟を探した両親に置きざれにされ、泣いていた私を出口まで導いてくれた女性が居ました。お礼を言うために事務所まで行ったのですが、その日は男性のみで女性はいない日でした。あの女性は誰だったのか、覚えているのは冷たく優しい手だけです。

珍しく両親がそろって休みを取れたので

小学1年生の夏の事です。1つ下の弟が前から行きたがっていたお化け屋敷に行くことになりました。

お化け屋敷と言っても遊園地にある物ではなく、大きなビルの特設会場に設置されたものでした。
私はお化け屋敷が好きではなく、そのビルの近くにある水族館に行きたかったことを覚えています。

ただ、この弟のおかげであの不思議な体験をするとは、小学1年生の私は思っていなかったのです。
お化け屋敷の入り口で手を離さないようにと係りの人から言われ、父が弟を母が私の手を繋いで入りました。

今思えば、たいして広くなかったお化け屋敷の中で弟は父の手を振り払い1人で歩いて行ってしまい、後を追うように父と母が行ってしまったんです。

私は手を離されて泣いてしまい

お化け屋敷の中を1人で歩いていました。
泣きながら父と母を呼ぶ私に、お化け役の人達も困っていたのでしょう。
誰かは見えなかったのですが、女性の細い手が私の手を握り「こっちよ。一緒に出口に行きましょう。」と言ってくれたのです。

私はその手にひかれて、10分、15分後歩いていたのでしょうか、出口に連れて行ってもらいました。
「もうすぐ、お父さんとお母さんが出てくるから、そこで待っていてね。」と慣れたその手は、冷たくて優しい手で怖くなかったのを覚えています。

出口から外へ出ると入り口にいた係の人が「あれ、君だけ?お父さんとお母さんは?」と聞いてきたので、中で手を離されてしまい、ここまで女性に連れてきてもらったことを伝えました。

それからしばらくして

弟の手を引いて父が出てきて私を見るなり「どこに行っていたんだ、お母さんが中で探しているぞ。」と怒ったので、「先に手を放したのは、お母さんだもん。ここまでお姉ちゃんが連れて来てくれたんだもん。」と言い返した私を起こる父の声が聞こえたのでしょう、母が飛び出してきて「ごめんね。怖かったよね。」と抱きしめてくれましたが、「絶対に許さない。私は1人にされて、怖かったんだから。お姉ちゃんが居なかったら出てこれなかったんだ。」とさらに言い返していました。

父も母も、「おねえちゃん?いつ私たちを追い越したの?」というのですが、私は出口につくまで誰にもすれ違っていないのです。
今思い返せば、いくら暗いといっても真っ暗ではないのですれ違えば分かるはずなのに…私は誰ともすれ違っていないのです。
お化け屋敷の暗さよりも、もう少し暗い通路を歩いていたと覚えているのです。

「なんにしても、ここまで連れてきてもらったんだからお礼を言わないと。」

と事務所へ行き経緯を話したのですが、「今日はお化け屋敷の係りは男性だけで、女性はいない日ですから、他のお客様ではないでしょうか?入場者の確認しますからお待ちください。」と数分待たされ、「おかしいですね。お客さんの前後に入った方の中には、女性はいないですよ。」と返事が返ってきました。

その時、交代で戻ってきたお化け役の人は私に向かって「良かったね、お父さんとお母さんに会えたんだね。」と、泣いていた私が誰かに「うん。一緒に連れて行って。お家に帰りたいの。」と言ったらしいので、てっきり仲間の誰か他のお客様だろうと思っていたと話してくれました。

あの手は誰だったのか、あの時歩いていた通路はどこだったのか不思議な事ですが、あの冷たく優しい手を今でも覚えています。