小学生の頃に祖父が亡くなる夜に起こった不思議な話

不思議な体験談

私の祖父は晩年、様々な病気を併発してしまい、長期入院を余儀なくされていました。
入院する前は、孫である私と、同い年のいとこをとても可愛がってくれて、元気な時はあちこち連れて行ってもらったり。おもちゃを買ってもらったことも何度もありました。

私たちにとっては大好きな祖父。そんな祖父にもいよいよ最期の時が間近に迫ってきました。

主治医から「今日、明日中には何かあるだろう。ご家族の方は覚悟してください」と言われ、祖母・父・おじはその夜祖父の入院先の病院に泊り込むことになりました。

まだ、小学生だった私といとこは「覚悟」の意味がよくわかってなかったと思います。ただ、「おじいちゃんが大変だ」というぼんやりとしたことくらいしか理解してなかったと記憶しています。

母と私、そしておばといとこは一旦家に帰り、普段通りに布団に入りました。
ここから先は、30年以上たった今でも明確に覚えている出来事です。

私はその夜、夢を見ました。学校の裏山で私と友達何人かと一緒にそり遊びをする夢です。祖父はニコニコとそれを眺めているという夢です。

「おじいちゃんも滑ろうよ」と誘うと、「じいちゃんよりお友達が大事だからね。お友達と滑りなさい」と言われて私はがっかりする、という夢です。
そこで目が覚めました。ぼんやりとしていると電話がなり、祖父が亡くなったと母から聞かされました。

これだけでは不思議でも何でもありません。しかし

いとこも同じ頃「おじいちゃんが俺のうちに来た」と言っているのです。
夜中、気がついたら祖父が部屋の中にいて、ニコニコ笑っていたと。
いとこは「おじいちゃん、病院じゃないの?抜け出してきたの?」と聞くと、「そうだよ」と祖父は言うので、買ってもらったばかりのファミコンのドラクエを一緒にやろうと誘ったそうです。

祖父は「おじいちゃんとじゃなくてお友達とやりなさい」と言ってどこかに行ってしまったので、心配になったいとこはおばを叩き起こし、「おじいちゃんがどっか行っちゃったから探そう」と訴えたそうです。

おばが何をこの子は言っているんだろう、と困惑しているとちょうど病院から電話がかかってきたと言うのです。

その後、お通夜・葬儀など一連の儀式が終わって落ち着いた頃にお互いにこの話をしてびっくりしました。

いまだに法事のたびに話題に上がるほどの不思議体験でした。
祖父は、薄れ行く意識の中で、私たち孫に最期に伝えたかったことが「友達を大事にする」と言うことではないかなと今となっては解釈しています。