私が中学2年の時、長野に林間学校に行ったときの話です。特に有名な場所という観光名所ではなかったのですが、泊まった先で撮った写真に不可解なものが紛れていたのです。後から考えると異様な旅館の雰囲気、そしてその心霊写真を撮った後に起きたこととは…
私が中学2年の時に林間学校で長野に行きました
八ヶ岳の近くではあるのですが、観光地としては少し寂れているような、そんな印象を今でも覚えています。
泊まった旅館はいつ建てられたものかははっきりしませんが、とても古く新館と旧館に別れており女子は皆新館に、男子は皆旧館に泊まることになっていました。
旅館に着き部屋にはいる前に先生達から話があったのですが、「何か壊したりとか疑われないように部屋に入ったら壊れているところなどを用紙にまとめて報告するように」とのことでした。
私と部屋が一緒だった他の三人は部屋に入り、障子や壁、置物などに破損がないかをチェックしていきました。
部屋に入ったときから「なんかやだな」とは漠然と感じていたのですが、部屋には至るところにお札が貼られているのです。
壁に直接だったり、柱のところに…お札自体も相当古いもののように感じました。
すると一緒だった友人が「こういうのって絵とか飾られてる後ろが一番ヤバいかも」といいはじめて、かかっていた風景画の枠をずらすとそこには人の頭くらいある大きな穴が開いていたのです。
あまりにひどいので、先生達に部屋を見に来てもらったのですが、他の部屋はここまでひどいところはなかったらしく先生達も驚いていました。
少し気持ち悪かったので部屋を変えてもらえないか先生に頼んだのですが、他に空き部屋はないと言われてしまったため私たちはしぶしぶその部屋に泊まることになりました。
その後特に何もなく、布団を敷いたり就寝準備をしているときに友人の一人がふざけて私が持っていたインスタントカメラを「ちょっと見せて」と言って持ち上げると特にシャッターも押してないのに、カシャッと音を立てて何かを撮りました。
写真に関しては地元に戻って現像してからになるので、この時は特に何も気になることはありませんでした。
あとひとつ、この旅館のおかしかったところを思い出すと、なぜか押し入れを開け上を見ると何か空間が有るのです。
私は気持ち悪くてその空間にはいかなかったのですが、好奇心旺盛な他の友人はその空間に入ってみたりしていました。
その空間は人が一人通れるくらいの大きさで、その穴を辿っていくと他の全部の部屋に行けたらしいです。
撮られた心霊写真とは関係ないかもしれませんが、そんな造りは聞いたことも見たこともなかったのですが正直気持ち悪かったです。
数日後、林間学校も終えて私は現像に出した写真を見ていました。
するとその中に不可解なものが写りこんでいたのです。
同じ部屋に泊まった友人が窓際にあったソファーに座っている写真。どうやら、別の友人が「見せて」と持ち上げたときに勝手に撮られてしまったもののようでした。
座っている友人の肩から大人の男の人だと思われるがっしりとした腕が出ていたのです
その友人が座っていたソファーは壁にベッタリとくっついており、人が入れるスペースなどなかったのです。よく見ると、その腕の指はちぎれて血が吹き出しているようにも見えるのです。
私は次の日に興奮ぎみにその写真をクラスの皆や先生達に見せていたのですが、その日その写真に写っている友人がいないのです。
どうしたのだろうと皆で話をしていたら、昼休みの時にその友人が登校してきました。見ると耳のところに包帯と言うか、何か治療した後があるのです。
その友人にどうしたのか聞いてみると、朝痛みで目が覚めると枕や布団が血まみれになっていたそうです。
当然その友人もその家族も大騒ぎで病院に行ったみたいなのですが、右耳が半分くらいちぎれていたらしいんです。
縫い合わせたのか詳細は覚えていないのですが、幸い治療して大丈夫になったとのことで遅れて登校してきたというのです。
その友人の切れた耳というのは、腕が写っていた側の耳でした。
その友人に撮ってしまった心霊写真を見せると「これが原因かもね。何もしてないのに耳が切れるとか有り得ないもんね。」と意外と冷静で私や他にいた友人の方が驚いたと同時に怖くなってしまいました。
その後、その友人はその写真のことも何も話したくない様子で、たまに輪の中でその話になるとすぐにどこかに行ってしまうようになったので私たちもいつしかその話はしないようになりました。
もしかしたら、友人は耳が切れたときに何か見てしまったのかもしれません。