金縛りにあい、動けず、苦しい中目を開けると、足元から緑色に覆われた鬼の形相をした、仁王像のような物体がゆっくり、私の上半身に向け這い上がって来た。翌日、近所の一人暮らしのおばさんがお風呂で溺死していたと聞かされた。
ある日いつも通り0時にはベットに入り寝入っていたはずが
体が突然重く感じ寝返りが打てない苦しさで意識が目覚めた。
自分が眠っているのか不意に目が覚めたのかがわからなかったが、重苦しさで目が覚めていることを自覚した。寝返りを試みるも、やっぱり足が異常に重く寝返りが打てない。
起き上がるに起き上がれず、唯一ほんの少し持ち上げれることが出来た頭を上げ、重い足元を見てみると、目が合ってしまった。
熱気を帯びたような全体が緑に覆われた上半身だけがくっきりと見える人。いいや、人じゃない。怒っているような、苦しんでいるような・・・
歯を食いしばっていて、何とも言えない鬼の形相をした物体が、ゆっくりゆっくり何を言う訳でもなく、ただただ噛みしめたような怖い顔をして、左右の腕を交互に前に出し、私の足元から上に這い上がって来る。
一瞬ゾッとしたけど過去にも何度か金縛りを体験しているせいか
ただただ寝返りが出来ない不自由さに苛立ちもあり、このまま近づいてきてからの展開の怖さもあり、自分のなかで見なかったことにしようと、目を閉じて寝返りを諦め眠ることにしました。
その日は運よく疲れていたせいもあり、ほんの短い不自由な重苦しさと恐怖の出来事とで、再び、眠れてしまえた。
案の定、翌日は体も重く記憶にも、しっかり焼き付いていた。あの怖さの中、眠れた自分にも怖さを感じましたが・・・
その翌日、何やら、ご近所がバタバタしていてあまり人が出入りしていないお宅にやたら人の出入りがあった。
何気にご近所さんから独居のおばさんが、昨夜深夜2時頃から3時頃にお風呂で溺死しているのを、親族の方が訪ねてきて発見されたと聞かされた。
わたしは、マンションの3階に住んでおり、亡くなったおばさんは、私が寝ているベットの足元の方角の下の一軒家に住まわれていたのです。
そうじゃないといわれれば、そうではないかもしれないけど、あの、おにの形相で、私の足元から這い上がって来たのは?あの鬼の形相は怒っていたのではなく、苦しんでいた?と考えずにはおれず、苦しさの中助けを求められていたのかもしれない。
ご近所さんではあっても、見かけた時に会釈する程度のお付き合いだったといっても、挨拶を返してもらえることもほとんどなく、少し厳しいイメージの変わった印象しかない。
子供さんたちは既に独立していて、一人住まいだったけど、そのころから、杖をつき、少し痩せ、言動もおぼろげな感じだった。
そんな深夜にお風呂へはいるなど、高齢者では考えにくいが、その翌日息子さんが来る予定だったらしく、思いたって入浴したのかも知れない。
もし、あれが、おばさんだったとしたら、何で、私のところへ?